17日の米株式市場で宇宙開発・AI大手のスペースXが急落。これで6営業日続落となり、時価総額はピーク時から1兆ドル(約162兆円)超が消失した。

同社の株価は5.4%安の123.99ドルで終了。時価総額は1兆6300億ドルに縮小した。上場3日目の6月16日の終値時点では、2兆6400億ドルだった。

イーロン・マスク氏率いるスペースXの株価は史上最大の新規株式公開(IPO)を経て一時上昇したものの、その後は勢いを失い、現在はIPO価格の135ドルを下回って推移している。この日は、同社がエンジンの不具合を理由に大型ロケット「スターシップ」の打ち上げを中止したことが嫌気された。数日以内に再挑戦する方針だという。

動画:スペースXの「スターシップ」打ち上げ中止に関するブルームバーグテレビジョンの報道

インテグリティ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジョー・ギルバート氏は「打ち上げ失敗のタイミングは悪かったが、打ち上げ失敗そのものは市場が織り込み済みのリスクだ」と指摘。「宇宙関連への楽観論が徐々に後退する中、投資家はリスク資産への投資を縮小し、企業価値の評価を見直している。その結果、高いバリュエーションも圧迫されている」と述べた。

マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、主力エンジン「Raptor」2基を交換するため、次回の打ち上げは来週前半までずれ込む可能性が高いと明らかにした。

レイモンド・ジェームズのアナリスト、ブライアン・ゲスアーレ氏は「再利用性や積載能力の限界に挑み、『スターリンクV3』の迅速な配備や、将来の米航空宇宙局(NASA)の有人月探査計画『アルテミス』への投入を目指すスターシップの開発を加速させる過程では、今回のようなトラブルは今後も避けられない」と指摘。

今回の遅延にもかかわらず、来週に打ち上げが実施されれば、スターシップの打ち上げ間隔は従来の221日から60日未満へと大幅に短縮されると同氏は説明した。

ゲスアーレ氏は7月7日にスペースX株の調査を開始し、投資判断を「ストロング・バイ」、目標株価を800ドルとした。これはウォール街で最も強気な目標株価で、17日の終値を約545%上回る水準だ。

スターシップは、宇宙空間へのデータセンター設置や衛星通信網「スターリンク」の拡充、将来的な月・火星への有人飛行を目指すスペースXの戦略の中核を担う。6月公表のIPO目論見書によると、同社はスターシップの開発に150億ドル超を投じてきた。

クリア・ストリートのアナリスト、グレッグ・ペンディ氏は「開発の遅れが大きくなれば、スターリンクや携帯電話との直接通信サービス『Direct-to-Cell』の展開加速にブレーキがかかる。衛星を迅速に配備するには、打ち上げコストの低減が欠かせない」と話した。

強気な投資判断

足元の株価急落にもかかわらず、ウォール街はなお強気姿勢をおおむね維持している。ブルームバーグが集計したアナリストの8割超が「買い」相当の投資判断を付与。平均目標株価は235.34ドルと、現在の株価を約90%上回る水準となっている。

今月ナスダック100指数に採用された同社では、内部関係者の保有株に長期のロックアップが設定されており、今後数カ月にわたり段階的に株式が市場へ放出される見通しだ。

原題:SpaceX Slump Wipes Out $1 Trillion in Market Value From Peak(抜粋)

(第6段落以降を追加します)

--取材協力:Matt Turner.

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