自民党のプロジェクトチーム(PT)は、株主権限の要件厳格化や業務執行に関する提案内容の制限を求める方針だ。政府が来年の通常国会への提出を目指している会社法の改正案に盛り込むよう、法制審議会での議論を促す。

物言う株主(アクティビスト)の活動に事実上、一定の制限をかける内容だ。ただ、提言案は、自己の利益のみを図る「濫用的アクティビズム」を建設的なアクティビズムと区別するとしている。

提言案は「成長志向型コーポレートガバナンスPT」が17日の会合で示した。臨時株主総会の招集請求権を現行の総議決権の3%から5%以上へ引き上げるほか、株主提案権行使の個数要件を廃止し、「1%以上」の割合要件に一本化。定款変更で株主が提案できる内容の範囲も制限を設けるよう求めている。

同PTには、株主の権利が相対的に大きい日本の法制度が、過剰なアクティビストの活動を招いているという問題意識がある。短期的利益を追求するアクティビスト対応に追われることが、成長投資への分配が伸び悩む一因になったという。他国に比べ、株主の権利が比較的強い制度を是正する。

大和総研の鈴木裕主席研究員は「成長投資の機会がアクティビストのせいでつぶされているというのは疑ってかかる必要がある」と指摘する。長期的な利益が見込まれれば株主は短期的な利益を追求しないはずで、「短期的な利益が長期的な何かを犠牲にして実現できるものなのか」と疑問を投げかけた。

法制審

自民の提言案のうち、業務執行に関する定款変更提案の制限は経団連などが求めているが、法制審が今年3月に取りまとめた中間試案には盛り込まれていない。

審議会では、何が業務執行事項に当たるのかというのは必ずしも明確でない、規制を設けた場合に執行することが難しいなどの慎重な意見が上がっていた。

大和総研の鈴木氏によると、日本で株主が比較的広い範囲の提案を行うことができるようになった背景には提案権が導入された1981年の旧商法改正時の社会情勢がある。当時はロッキード事件などで「企業が悪者だ」というイメージがまん延しており、株主提案により経営の透明性を高めることが期待されていたという。

自民の提言案には「定款変更の形式を濫用するような業務執行事項に関する株主提案の制限について検討するべきだ」と明記した。一方で株主による経営者の規律確保や成長投資につながる提案を阻害されてはならないとし、「株主提案を制限する業務執行事項を限定すること」も求めている。

PTの事務局次長を務める根本拓衆院議員は記者団に対し、「ラインをどこで引くかについては、法制審で議論してほしい」と述べた。もし業務執行事項の提案を完全に制限するのであれば、株主の意思を確認するために諮られる勧告的決議制度を導入する方向性もあり得るとも話した。

定款変更に関する株主提案が可決された例は少ないが、昨年の栄研化学の株主総会では、英アセット・バリュー・インベスターズが剰余金の配当を株主総会の決議で定められるようにする定款変更を提案。73%の支持を得て可決された。従来の定款では「株主総会の決議によっては定めない」としていた。

鈴木氏は、仮に業務執行事項に株主提案を制限する場合、経営側がどのような提案を拒絶できるのか「お墨付きを与える必要がある」と指摘する。例えば、特定事業からの撤退が拒絶対象に当たることは明白なものの、剰余金の配当は議論の余地が残ると話した。

また、株主提案権の行使の要件は現在、総議決権の1%以上か300個以上の議決権としている。法制審の中間試案は「300個以上」の個数要件見直しについて廃止もしくは一定の個数への引き上げの2案を示していたが、自民案は廃止に絞るよう求めている。

(詳細を追加し、更新しました)

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