(ブルームバーグ):9日の日本市場は株式が反発。米半導体株高を受けて関連株に買いが入り、日経平均株価を押し上げた。中東情勢悪化による原油高や財政拡張への懸念を背景に、長期金利は1996年以来の高水準を連日で更新。円は対ドルで162円台前半に強含んだ。
トランプ米大統領は8日、イランとの停戦合意は終了したとの見方を示し、米軍は2日連続となる攻撃を実施した。地政学リスクが再び警戒される中でも、同日の米株市場ではエヌビディアやブロードコムなどが上昇し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が反発。国内でも原油高が重しになる空運や小売りの一角が売られた一方、アドバンテストや東京エレクトロン、キオクシアホールディングスなど半導体関連株が買われ、株価指数を支えた。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、中東情勢は気がかりだが、市場は株式から全面退避する場面ではないとみていると指摘。長期的に高いリターンを見込めるAI・半導体には投資を続けてよいとのロジックが働いていると話した。
株式
株式市場では半導体や電線株などが高く、日経平均は午前に一時1600円超まで上げ幅を拡大した。一方、自動車や銀行などバリュー(割安)株が売られ、TOPIXの上昇は限定的となった。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、 中東情勢の悪化を受けて、足元買われていた景気敏感株に利益確定売りが出ていると指摘。米国市場でインフレによる利上げ懸念が後退するまでは、日本株も高値を更新するほど資金が入らず、セクター間のローテーションにとどまるだろうと話した。
為替
円は対ドルで162円台前半に小幅上昇した。原油高による貿易赤字拡大懸念などから海外時間に162円台後半まで下落したが、1日に付けた約40年ぶり安値(162円84銭)が近づく中、通貨当局による介入も警戒され、円を買い戻す動きがやや優勢となった。
セントラル短資FX市場業務部の富永貴之部長は、昨日は中東リスクに「マーケットが過敏に反応しすぎた」と指摘し、その反動が出ていると述べた。市場は「本格的な戦闘再開や緊迫化が一段と進み、原油価格がさらに上昇するシナリオまでは描いていない」と話した。
みずほ銀行国際為替部の長谷川久悟マーケット・エコノミストは「いったん有事のドル買いはやり切った」とし、東京時間の円買い戻しにつながっているとの見方を示した。一方で、「円固有の弱さ」があり、政府のけん制に対して日本銀行が利上げ姿勢を明確にしない限り、ドル安・円高方向には行きにくいと述べた。
債券
債券は下落(利回りは上昇)。原油高によるインフレ懸念から米長期金利が上昇した流れを引き継ぎ、売りが先行した。新発10年債利回りは一時2.9%まで、同20年債利回りも同3.89%まで上昇し、ともに連日で1996年以来の高水準を更新した。
国債需給や政府の日銀に対する利上げけん制への警戒も相場の重しとなった。三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、財政悪化が意識されて需要は強くないとし、「需給懸念から売られやすい」と指摘した。
一方、相場は引けにかけて下落幅を縮小した。原油価格が下げに転じ、米長期金利が時間外取引で低下したため、買い戻しが入った。SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「10年や20年の金利が大台に近づき、金利上昇にやや一服感が出ている」と話した。
財務省がこの日実施した5年債入札は、投資家需要の強弱を表す応札倍率が3.43倍と過去12カ月平均(3.35倍)とほぼ同水準だった。入札の結果発表後、債券先物は一段安となる場面があった。
SMBC日興の田未来シニア金利ストラテジストは、5年債入札は無難な結果だったと指摘。先物が下げ幅を拡大したのは、「投資家が債券の保有リスクを増やせないため、落札する代わりに先物や既発債を売っているのかもしれない」と話した。
新発国債利回り(午後3時時点)
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--取材協力:我妻綾、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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