長期金利が約30年ぶりの水準に上昇する中、日本で変動利付債の発行が相次いでいる。日本政策投資銀行(DBJ)とサントリーホールディングスが発行条件を8日に決定し、変動利付債の起債額は過去10年間で最高水準になった。

DBJはこの日、5年変動利付債79億円、サントリーHDも5年債で90億円を起債した。ブルームバーグの集計によるとDBJの変動利付債の円建て公募は2013年11月以来約13年ぶり。住友商事や伊藤忠商事を含めてブルームバーグのデータでは、今年の変動利付債は716億円と前年同期比約5割増えて16年以来の大きさになった。

サントリーの社屋(東京)

日本銀行の金融政策を巡る見方や財政悪化への懸念を背景に国内金利が上昇する中、債券市場では発行体の資金調達を巡る構造変化が進みつつある。外債の発行や変動利付債の活用など、調達手法を多様化し、投資家層を広げることで安定的な資金調達を図る動きを強めている。

野村証券市場戦略リサーチ部の林秀昭シニア・クレジット・アナリストはDBJ債について「現在、金利リスクを取りにくくなっている投資家層を取り込むべく、財投機関の中で久々の変動債での調達に先鞭をつけたと思われる」と分析。「地銀などの投資家にとっても、金利リスクを抑える手段として投資の新たな選択肢が広がる」と述べた。

需要超

変動利付債は、市場金利に応じて利率が見直されるため、投資家にとって固定利付債より価格下落リスクを抑えやすい。サントリーHDは6月に5年債の起債を表明した後、7月に5年固定利付債と5年変動利付債の2本立てとすることを追加で公表した。

DBJ債については主幹事を務めるSMBC日興証券の起債概要によると、50億円程度を目標に需要調査を開始したところ、金利上昇で評価損を意識する金融機関を中心に需要が集まり、最終的な発行額は79億円となった。

DBJ財務部の起債担当者の中山圭右課長は電話取材で「足元の金利上昇基調が続く中、固定利付債への投資に慎重な金融機関を取り込むため、変動債を発行し、幅広い投資家にアプローチした」と語った。今後の継続発行については「未定」としつつも、今後の金利環境や投資家ニーズを踏まえて検討する考えを示した。

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.