(ブルームバーグ):元財務官の山崎達雄氏は6日、足元の円相場について最大2割程度は過小評価されているとの認識を示した。日米金利差や高市早苗首相の政策スタンスへの正しい理解が深まれば、円安はいずれ是正されていくとみている。
ブルームバーグのインタビューに応じた。今後の為替動向に関しては「経済のファンダメンタルズからのかい離は限界に近づいている」と述べ、これ以上の円安は進みにくいとの見方を示した。
市場の一部では1ドル=200円を意識する向きもあるが、こうした極端な数字が出るのはトレンドが転換するクライマックスに近づいていることの表れだと指摘。「現在の円相場は大幅に過小評価されており、その程度は1割から2割に及ぶだろう」と述べ、水準としては「130円程度でもおかしくない」とした。

円相場は1日に一時162円84銭と1986年以来、約40年ぶりの安値を付け、6日午後は162円台前半で推移している。背景には、日米金利差が今後拡大していくのではないかとの見方に加え、高市政権の拡張財政や日本銀行に対する利上げけん制を巡る警戒感がある。
山崎氏はこうした見方は「いずれも間違っている」とした上で、「現在の極端な円安はじきに是正されると考えている」と話した。
日米金利差については、日銀が今後利上げに向けて動くのに対し、米連邦準備制度理事会(FRB)の次の行動が利上げかどうかは「五分五分」で、金利差はむしろ縮小する方向だと分析する。
政府が今月閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、日銀が適切な金融政策を行うことも「非常に重要」との文言が原案に記載された。市場の一部では、政府が日銀の利上げをけん制したのではないかと受け止められた。
山崎氏はこの点について、高市政権の日銀に対する要望はこれまでと変わらないとみている。植田和男総裁と高市首相の面会後に日銀が利上げを実施していることから、「高市政権は利上げを阻止しているわけではない」と指摘した。
財政政策も現時点では具体的なことは明らかになっておらず、2027年度当初予算の規模などはこれから決まることだと述べた。
長期戦
政府・日銀は4月末からの1カ月間で、計11兆7349億円の為替介入を実施した。介入による円相場急騰の直前には、片山さつき財務相と三村淳財務官が投機筋に対して「最後通告」を発していた。
山崎氏は今後こうした事前通告はないだろうとしつつ、「特に現在のように、投機筋との長期戦に入っている状況では、覆面介入によって投機筋を疑心暗鬼にさせることも有効な手法だ」と話す。
長期戦である以上、単発で大きく介入するよりは「覆面で小刻みで対応していく方が考えやすい」とみる。現時点ではいつ介入が行われてもおかしくない状況だとも述べた。
日本政府は投機筋をけん制する際に、為替の共同声明を発出した米国との協調を前面に出してきた。山崎氏は「為替介入について、今ほど米国当局が理解を示していたことはない」と話す。
市場は日米協調介入を警戒するが、米国にとって介入は自国通貨売りとなり、通貨安誘導は他国からの批判を受けやすい点でハードルが高いとの見方を示した。
現在、国際医療福祉大学で特任教授を務めている山崎氏は、03年から04年にかけて日本が35兆円規模の円売り介入を実施した当時、財務省の為替市場課長を務めていた。財務官には14年から15年にかけて就いた。

(山崎氏の財務官としての就任期間を追加して更新します)
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