米連邦航空局(FAA)は、航空機乗務員の放射線被ばくを監視する体制の整備や健康リスクに関する情報提供で、他国に後れを取っている。議会の指示を受けてまとめられた報告書で明らかになった。

米政府に助言する全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)が今月公表した報告書によると、放射線被ばくは米国の航空機乗務員にとって職業上のリスクだが、同様のリスクにさらされる他の職種の労働者と同等の規制上の保護は受けていない。

報告書によると、FAAは年間被ばく限度に関する指針を示しているものの、米航空会社には被ばく量の追跡が義務付けられておらず、航空会社に説明責任を求める仕組みも現時点で整備されていない。こうした米国の対応は、韓国や欧州連合(EU)加盟国とは異なっている。

ミズーリ科学技術大学の准教授で、報告書作成委員会のメンバーを務めるケーシー・キャンフィールド氏は29日のオンラインセミナーで、「航空会社全体で標準化された形で実施されていないため、乗務員が放射線リスクに関する情報を受け取っているかどうかや、どの程度の情報を得ているかには大きなばらつきがある」と述べた。

今回の調査は、2024年に制定された法律に基づきNASEMに実施が義務付けられたものだ。飛行の各段階における放射線量や乗務員への健康リスク、その低減策を検証した。報告書によると、1回の飛行で受ける被ばく量は通常少ないものの、乗務員としてのキャリアを通じて被ばくが蓄積すると、がんなどの疾病リスクが高まる可能性がある。

報告書は、FAAが講じるべき対応として4項目を提言した。放射線被ばくを職業上の被ばくとして規制対象に加えることのほか、航空会社に対する安全管理プログラムの策定義務付け、被ばく量の推計モデルの改善、被ばく量を一元管理する追跡システムの構築などを挙げた。

原題:Report Urges More Oversight of US Flight Crew Radiation Exposure(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.