(ブルームバーグ):イラン戦争後に日本が代替調達を進めてきた米国産原油の存在感が増している。6月は全輸入量のうち米国産が約4割を占める見込みだ。航路データを追跡したマップには、メキシコ湾岸やアラスカ発の原油タンカーが、続々と日本に到着する様子が現れた。
船舶追跡データによると、世界一の産油国である米国からの6月の輸入は約2265万バレルだった。日本に到着した13隻中12隻がメキシコ湾岸から出荷され、アフリカ大陸南端の喜望峰を回るルートをとった。中型原油タンカー「California」はアラスカ州で原油を積んだ後に太平洋を横断し、6月上旬に東京湾に到着した。経済産業省によると、開戦後にアラスカから原油タンカーが到着したのは初だという。
イラン戦争の影響でホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油調達の9割以上を中東に依存してきた日本は、米国やアフリカの南スーダン、東南アジアなどから原油をかき集めている。
ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、6月の輸入量は約5760万バレル(日量192万バレル)となる見通しで、前年同月の9割程度まで回復した。23日時点の船舶追跡データを基にしており、今後原油タンカーの行き先が変更になったり、天候の状況などで到着が後ろ倒しになる可能性もある。
日本政府は備蓄も活用することで2028年3月末まで石油の安定供給が可能との見通しを示しているものの、米国とイランの和平合意の先行きには不透明感もあり、代替調達が必要な状況は当面続く可能性がある。
課題もある。中東から日本までの航海日数は約20日程度とされるのに対し、米国のメキシコ産から喜望峰を経由するルートは約50日で、輸送費がかさむことなどから割高になる傾向がある。
財務省が今月発表した貿易統計によると、日本が5月に米国から輸入した原油の輸送運賃や保険料を含めた単価は中東産よりも8.8%高かった。調達コストの上昇は最終的に消費者や石油製品に補助金を支払っている政府の負担増加につながる。
積み替え手法も
前月同様、ホルムズ海峡を通らないルートで運ばれた中東原油も多い。同海峡の外側に位置するオマーン湾に面するアラブ首長国連邦のフジャイラ港とサウジアラビアの紅海沿岸にあるヤンブー港から出荷された原油は全体の3割弱を占めた。
いずれの港も危険な海域の周辺にあることから、そこから出荷された原油を他社のタンカーに安全な地点まで運んだ上で自社のタンカーに積み替える手法も引き続き活用されている。船舶追跡データでは、マレーシア沖で積み荷を受け取り、日本に6月に到着するタンカーは9隻が確認された。
例えば国内石油元売り最大手ENEOSホールディングスの海運子会社が運航する超大型原油タンカー(VLCC)「ENEOS Glory」は、5月下旬にマレーシア沖でフジャイラ港出しの原油を積んだ別のVLCC「Olympus」から積み荷を受け取った。
また、6月に日本に到着した船の中には、開戦後に日本関係船として2番目にホルムズ海峡を通過したENEOS子会社の原油タンカー「ENEOS Endeavor」もあった。それに先だって海峡を通過した出光興産の「Idemitsu Maru」は5月下旬に日本に到着している。「ENEOS Endeavor」はENEOSの備蓄基地がある喜入港に3日に到着、その後6日には同社が保有する根岸製油所(横浜市)に着いた。
石油連盟の木藤俊一会長(出光会長)は5月の会見で、2隻の通過後も日本が調達した原油を積んだVLCC7隻がペルシャ湾内に残っていると述べていた。米国とイランの暫定的な和平合意を受けホルムズ海峡の通航量は回復傾向にあり、日本向けで合意後初めて通過が判明したVLCC「Shaden」は喜入港に7月11日に到着予定となっている。
--取材協力:Weilun Soon.
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