テクノロジー企業がかつてないほど長期間にわたり未上場を維持していることは、もはや周知の事実だ。投資家は少数の有望スタートアップに前例のない規模の資金を投じ続けている。

こうした状況は、これまでベンチャーキャピタル(VC)とその出資者であるリミテッド・パートナー(LP)との緊張関係の原因と考えられてきた。VCは有望な未上場企業への投資を続ける一方、LPは新規株式公開(IPO)や売却などのエグジットによる資金回収と利益実現を待ち続けている。

だが、その構図に変化が生じつつある。

今月実施されたスペースXのIPOは、24年前の創業時から支援してきた投資家の一部にとって、莫大なリターンが見込めることを示した。また、OpenAIやアンソロピックのIPOも今後控えており、新たな資金がVC市場に流入している。

例えば、メンロー・ベンチャーズは同社にとって過去最大となる総額30億ドル(約4850億円)規模のファンド群を組成した。AIスタートアップを創業初期から成長段階まで幅広く支援する。経営委員会のメンバーは、サンフランシスコのイタリア料理店コトーニャでの夕食会で、今回の資金調達とAI重視の戦略は、アンソロピックへの投資が原動力になったと筆者に語った。なお、この店の隣には、メンローがアンソロピックへの「社運を懸けた投資」を決めたレストラン、クインスもある。

メンローはこれまでに約10億ドルをアンソロピックに投じており、その持ち分の価値は現在約140億ドルに達している。同社は創業から50年間でLPに総額89億ドル超を分配してきたが、今後予定されるIPOの結果次第では、アンソロピック投資が過去最高のリターンをもたらす可能性がある。

アントニオ・グラシアス氏

また、イーロン・マスク氏に近いアントニオ・グラシアス氏率いるバロー・エクイティー・パートナーズは現在、スタートアップ投資向けに25億ドル規模のファンドを組成している。同社はスペースX株の4%を保有しており、このファンドもスペースXに一部資金を投じると、ブルームバーグは以前報じていた。

両VCの積極姿勢は、有力企業への上場前投資がもたらす「ハロー効果」を改めて示している。ベンチマークによるイーベイ投資やクライナー・パーキンスのグーグル投資のように、誰もが知る企業へ出資することは、VCの評価や影響力を高めてきた。しかし、IPO低迷による過去2年間のVC業界の流動性危機を受け、LPから追加資金を集められず、ファンド規模が横ばい、あるいは縮小するVCが増えるとの見方もあった。

少なくともVC大手については、こうした懸念は当たっていない。今年に入り、OpenAIがシリコンバレー史上最大の資金調達を実施した際には、必要資金があまりに巨額なため、従来型VCは大きな役割を果たせないとの見方も多かった。しかし実際には、アンドリーセン・ホロウィッツが共同で調達ラウンドを主導。また、アンソロピックによるシリーズHの650億ドル調達でも、4社のVCが共同リード投資家を務めた。

OpenAIとアンソロピックがIPOに向けて次の段階へ進むのを市場が待つ中、現時点では、両社が上場する可能性があるというだけで、VCファンドの規模は膨らんでいる。

次に問われるのは、こうした巨額ファンドを正当化できる企業が今後も現れ続けるのか、それとも現在がピークであり、いずれ調整局面を迎えるのかという点だ。

原題:SpaceX, OpenAI and Anthropic Shake Up VC Funding: Tech In Depth(抜粋)

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