(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)が2年9カ月ぶりの利上げを決めた翌日、世界の大手金融機関や資産運用会社の一部は、ECBがいずれこうした引き締め策を転換せざるを得なくなるとみて、ポジションの構築を開始した。
JPモルガン・アセット・マネジメントやUBSグループ、RBCブルーベイ・アセット・マネジメントなどは、向こう1年間のECBによる利上げ回数をスワップ市場が過度に織り込んでいると指摘。金融引き締め策がユーロ圏経済を下押しするリスクについては過小評価しているとの見方を示した。
こうした乖離(かいり)や、ECBがいずれ政策を転換する可能性を受け、短期国債を購入する好機が生まれていると、これら金融機関は指摘する。
JPモルガン・アセットは欧州の短期国債に強気姿勢を取っている。短期債は金融引き締め観測を受けて売られてきており、ドイツ2年債利回りは一時、約2年ぶりの高水準に達した。
原油相場の下落を背景に、12日のスワップ市場で利上げ観測はやや後退した。しかし、今後1年間でECBがさらに2回利上げを実施し、2027年末まで据え置くとの見方は依然として織り込まれている。

JPモルガン・アセットのグローバル市場ストラテジスト、ヒュー・ギンバー氏は「ECBが今年利上げを行えば行うほど、2027年に利下げを余儀なくされる可能性が高まる」と述べた。
UBSのストラテジスト、レイナウト・デボック氏は、ECBが27年6月から28年6月までの間に少なくとも1回利下げを行うと予想。
27年6月に償還期限を迎える欧州銀行間取引金利(EURIBOR)先物3カ月物を売り、28年6月に期日を迎えるEURIBOR先物の3カ月物を買うポジションを構築した。
先物市場は現在、ECBが同期間に緩和策を講じる可能性を50%未満とみている。
ECBは11日、政策委員会会合に公表した声明で、経済成長への懸念を表明し、26年と27年の成長率見通しを引き下げた。今月上旬に発表されたユーロ圏の域内総生産(GDP)確定値によれば、1-3月(第1四半期)は前期比0.2%減と、改定値の0.1%増から大幅に下方修正された。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)ヨーロッパのコンスタンチン・ベイト氏は12日、ECBが示した成長率見通しは楽観的過ぎるとブルームバーグテレビジョンで指摘。「成長見通しを巡る議論があまり行われなかったことにやや驚いている」と述べた。
もっとも、現時点で政策当局者はタカ派姿勢を維持している。ECB政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は同日、中東での戦争の衝撃で必要になるのなら、ECBは7月の会合で2会合連続となる利上げを行う用意があるとの認識を示した。
こうした姿勢に対し、市場では2008年や2011年との類似性を指摘する声も聞かれる。当時、ECBはインフレ加速を受けて利上げを急いだが、その後の景気悪化を受けて数カ月以内に政策転換を余儀なくされた。
RBCブルーベイのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は、経済活動が弱まることでインフレ率が目標水準へと戻り、今の局面で実施する利上げは来年には巻き戻されるとの見方を示した。
「当社はこうした見通しに基づき、ユーロ圏の短期債利回りについて前向きな見方を維持している。また、相対的に米国債よりドイツ連邦債の方が良好なパフォーマンスを示すと引き続き予想する」と、顧客向けリポートに記した。
原題:Investors Bet ECB Will Pivot to Rate Cuts as Growth Risks Mount(抜粋)
--取材協力:James Hirai.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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