トランプ米大統領は、イスラエルとイランの戦闘停止を仲介した後、イランとの戦争終結に向けた動きが勢いを増しているとの見方を改めて示した。この戦闘停止によって、より広範な和平努力を頓挫させかねなかった緊張は和らいだ。

トランプ氏は9日、ニューヨークで記者団に対し、「非常に良い合意」に向けた交渉が大詰めを迎えており、「1-2日後には少なくとも見通しを得られる可能性がある」と語った。

トランプ氏の発言の数時間前には、イランとイスラエルがともに、相手の攻撃を抑制することを表明した。トランプ氏は、米国とイスラエルによる2月の対イラン攻撃で始まった戦争の終結に向けた暫定合意について、繰り返し言及してきた。停戦は約2カ月間続いているが、米国、イラン、イスラエルの間では散発的な戦闘が続いており、恒久的な和平合意がない場合に全面戦争へ逆戻りするリスクを浮き彫りにしている。

イスラエルのネタニヤフ首相は8日のテレビ演説で、当面はイランへの攻撃を停止する考えを示した。これに先立ち、イスラエルのニュース放送局N12は、イスラエル軍が親イラン武装組織ヒズボラと交戦しているレバノン南部への攻撃については、今後数日も最大規模で継続されると報じていた。

一方でイランも、イスラエルに対する軍事作戦の終了を発表した。ただし、イスラエルがレバノン南部などへの攻撃を継続するなら、「これまでよりもはるかに苛烈で痛烈な行動を取ることになる」とイランの中央軍司令部は警告した。イランの準国営ファルス通信が声明を引用して伝えた。

ホルムズ海峡付近では、米軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」が墜落した。機械的な不具合に見舞われたのか、それともイランによって撃墜されたのかは不明だと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。

トランプ氏は、この件について記者団から問われ、パイロットは無事だとした上で、9日中に報告書が公表されるとの見通しを示した。

戦闘沈静化のもろさを示すように、イランのペゼシュキアン大統領は、同国は戦場も交渉の場も放棄していないとSNSに投稿した。

トランプ氏は8日夜、サウスカロライナ州の共和党支持者向けオンライン集会で、戦争は速やかに終結し、その後原油価格も下落するとの見通しを示した。

世界的な指標である北海ブレント原油は1.3%下落して1バレル=93ドル近辺となり、戦争開始以降の上昇率は29%弱まで縮小した。ブルームバーグドル・スポット指数も小幅に下落した。

ホルムズ海峡を航行する船舶(5月)

焦点は依然として、ホルムズ海峡を経由するエネルギー輸送が本格的に再開するかどうかに集まっている。週末には商業船舶の通航が徐々に再開されたが、リスクを懸念して一部の船舶は位置情報を発信するトランスポンダの電源を切った状態で航行した。

新たな緊張激化の火種として、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、イスラエルに向けてミサイル攻撃を実施したと表明した。また、紅海におけるイスラエル側の海上航行に対し「完全かつ全面的な禁止措置」を課すとテレグラムに投稿した。

イスラエル国防軍(IDF)は8日夜、エイラート周辺で警報が発令された後、イエメンから飛来した「不審な航空目標」を迎撃したと発表した。

7日にはイランとイスラエルの間で攻撃の応酬があった。イスラエルはイランによる攻撃を迎撃するとともに、テヘランや、イラン南西部マハシャールにあるカルン石油化学会社を攻撃した。ファルス通信によると、イランは自国のエネルギーインフラへの攻撃が続く場合、イスラエルと米国、およびその中東同盟国に関連する全ての石油・ガス施設を攻撃対象にすると警告した。

イランは、イスラエルによるベイルート攻撃を受けて軍事行動を開始した。イランがヒズボラ防衛のために軍事介入した異例の事例となった。

今回の戦闘は、4月8日に発効した停戦合意に対する最大の試練となった。この戦争開始以降に中東各地で数千人が死亡。世界のエネルギー供給網に混乱が生じて原油価格が上昇し、世界的なインフレ加速への懸念を強めている。

イスラエルは、米国とイランのいかなる合意もヒズボラとの紛争を対象に含めないと主張している。イランはヒズボラへの支援と保護を維持しようとしている一方、トランプ氏は合意成立を優先している。

原題:Trump Says Peace Talks on Track After Israel-Iran Clashes End(抜粋)

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