米国の生命保険会社は2025年、最も流動性の低い種類の債券商品を約8070億ドル(約129兆2000億円)保有していた。格付け会社ムーディーズの新たな調査リポートで明らかになった。生保業界全体の流動性や、資産集中への懸念が広がっている。

8日に公表されたこのリポートによると、こうした資産の保有額は2025年末時点で、生保業界が保有する債券ポートフォリオ、約4兆ドルの20%に達し、その比率は前年の18%から上昇した。集計対象となった証券は、プライベートレター格付け(限定された投資家向けに提供される非公開の格付け)が付与されているもの、第三者機関による正式な格付けを持たないもの、あるいは市場で観察可能な価格による評価ができないものだった。

信用格付けは保険業界の財務健全性を左右する重要な要素だ。保険会社が契約者への支払い義務を履行するために積み立てる資本額は、格付けによって決まる。支払い義務は数十年先に及ぶ場合もある。

ムーディーズのマノジ・ジェタニ氏率いるアナリストチームは「増加の背景には構造的要因と循環的要因の両方がある。高止まりしつつも変動の大きい金利環境下で、リスク調整後利回りの需要が続いていることと、民間で組成されるクレジット商品の供給拡大だ」とリポートで指摘した。

保険会社はプライベートクレジットを含む代替投資への投資を増やしており、規制当局の監視を受けている。米財務省は5月、州規制当局と会合を開き、この資産クラスへの保険会社のエクスポージャーについて協議した。

大規模エネルギープロジェクトからハイパースケーラーのデータセンターまで、幅広い分野に資金を供給するプライベートクレジット市場は拡大を続けている。保険会社による低流動性資産への資金配分は、今後も増加すると見込まれる。こうした投資はポートフォリオの分散や高利回りの確保につながる一方で、不透明な評価や、流動性管理の問題への懸念も深めている。

ムーディーズによると、こうした投資の信用力は平均すると、生保業界全体の保有債券資産より低い。流動性の低いポートフォリオの約43%は、投資適格級の下位3段階に格付けされており、業界全体のポートフォリオでは36%だった。また流動性の低いポートフォリオの約9%は、投機的等級(ジャンク級)だった。

こうした流動性の低い投資は、生命保険業界内でも偏りが見られる。業界全体のエクスポージャーの44%を、上位10社が保有している一方、同じ10社が保有する債券資産は業界全体のポートフォリオの約24%にとどまる。

プライベートレター格付けは過去1年間、注目を集めてきた。1兆8000億ドル規模に成長したプライベートクレジット市場におけるその役割について、経営者や規制当局、議員らが懸念を示しているためだ。公的格付けと異なり、プライベートレター格付けは広く公開されることはない。こうした格付けを提供するイーガン・ジョーンズ・レーティングスは昨年、米証券取引委員会(SEC)の調査対象となり、その後バミューダ金融庁の認定機関リストから除外された。

プライベートレター格付けが付与された投資資産は、4830億ドルに達し、昨年に米生保業界が有した債券ポートフォリオ全体の12%を占めた。

原題:US Life Insurers Held $807 Billion of Highly Illiquid Credit(抜粋)

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