米マーケットメーカー(値付け)大手のシタデル・セキュリティーズは、米連邦準備制度理事会(FRB)が高まりつつあるインフレ圧力を抑えるため、「近く」利上げを実施する必要に迫られる可能性があるとして、投資家が次に直面する大きなリスクは金融環境の引き締めだとの見方を示した。

シタデル・セキュリティーズの欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の債券営業部門責任者のノーシャド・シャー氏は顧客向けリポートで、大規模な人工知能(AI)投資サイクル、エネルギー市場の引き締まり、労働市場の強化が重なり、経済成長とインフレの双方で上振れリスクを高めていると指摘した。

シャー氏は「FRBの次の一手は利上げとなる可能性が最も高い。しかも、それは近いうちかもしれない」と述べた。

世界の株式市場と債券市場は5日に下落した。市場予想を上回る米国の雇用統計を受け、経済は依然として底堅く、政策当局者が金利を据え置き続けるには強すぎるとの懸念が強まったためだ。この統計を受け、市場ではFRBが年末までに0.25ポイントの利上げを実施するとの見方が強まった。9月にも利上げが行われる確率は現在ほぼ五分五分となっている。

シャー氏によると、労働市場は「転換点」に近づいている可能性がある。失業率が低く、労働供給が制約されている状況のなかで、経済成長がさらに加速すれば、賃金上昇率はFRBのインフレ目標と整合的な水準を大きく上回る可能性があるという。

同氏は、ホルムズ海峡が再開され、エネルギー市場の混乱が緩和された場合も、インフレ圧力は残る恐れがあると指摘した。イラン戦争中に減少した在庫を補充する必要があるほか、各国政府や企業はより大規模なエネルギー備蓄を維持し、供給網の多様化を進める可能性が高い。その結果、経済全体により高いコストが定着することになるためだ。

人工知能(AI)に対する政治的反発の高まりが、市場にとって新たなリスクとなる可能性があるとも警告した。米中間選挙を前に、政策当局者は、雇用の喪失、エネルギー消費、インフレへの懸念に注目している。

シャー氏は、「AIは人気がない。インフレも人気がない。市場にとって残念なことに、この問題のどちらか、あるいは両方に対する政策対応が、AIを巡る熱狂をやや冷ますことになり、それと同時により広範な金融環境の引き締めにつながるかもしれない」との見通しを示した。

原題:Citadel Securities Sees Risk of Fed Forced to Raise Rates Soon(抜粋)

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