(ブルームバーグ):ダブルライン・キャピタルやオークツリー・キャピタル・マネジメントなどクレジット市場の大手は、人工知能(AI)ブームがクレジットバブル崩壊に転じた場合でも好調なパフォーマンスを見込める債券を買い進めている。
債券価格やバリュエーションはまだ過熱していないが、テクノロジー企業がAIに数兆ドルを投じる中、市場は今後数カ月から数年で間違いなくそうした水準に達すると、ダブルラインのポートフォリオマネジャー、ロバート・コーエン氏は述べた。
AI関連のクレジット投資は難しい。現在投資可能な証券の多くは償還が数十年先で、その頃には現在の技術が陳腐化している可能性があるためだ。データセンターは建設に時間を要する上、多くのプロジェクトが同時進行していることから、供給過剰に陥るリスクが高いとコーエン氏は指摘する。
コーエン氏は3日のブルームバーグ・グローバル・クレジット・フォーラムで、「深いサイクルを乗り切れるクレジットは何かを考える必要がある」と発言。「ストラクチャーによって、あるいは非常に強固なバランスシートによって生き残れるクレジットを選びたい」と述べた。

同時に、企業は市場に大量の債券を供給しており、資産運用会社は無視できない状況だ。ハイパースケーラーとして知られる米テクノロジー大手は、世界で1550億ドル(約24兆8500億円)超の無担保債を発行しており、バークレイズの5月21日付リポートによれば、すでに昨年通年の発行額を45%超上回っている。
ハイパースケーラー以外の動きもある。データセンター整備計画を進めるハット8は、42億5000万ドル規模の投資適格債を起債した。関係者によると、調達資金は、米テキサス州ニュエセス郡で建設する352メガワット規模のデータセンターと変電所の整備に充てられる。
今後も借り入れはさらに増える。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は、企業が今後5年間でAI関連の設備投資に約5兆ドルを支出すると推計しており、その多くは借り入れで賄われる見通しだ。
オークツリーは、実際にそうなるかは分からないとしても、将来的に投機的な過熱が起こる可能性があるとの前提で投資している。データセンター向け融資市場は初期段階にあると、オークツリーのプライベートクレジット共同ポートフォリオマネジャー、クリスティーナ・リー氏は述べた。
リー氏は「この競争環境で誰が勝者となり、誰が敗者となるのか、まだ本当に分からないため、選別的である必要がある」と指摘。「データセンター向け融資は非常に大きく、成長している投資機会だ。まだ序盤にすぎない」と述べた。
オークツリーの共同創業者ハワード・マークス氏は12月のリポートで、投資家は債券を慎重に購入する必要があると述べた。
マークス氏は「状況が悪化した場合には破滅的なリスクに直面することを認識せず、全力投資すべきではないと助言したい」とし、「同時に、完全に距離を置き、偉大な技術的進歩の一つを逃すリスクを負うべきでもない」と記した。
不良債権化した場合の損失は、投資家がこれまで経験してきた水準を上回る可能性があると、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のダニエル・アイバシン最高投資責任者(CIO)は5月下旬の動画で述べた。大量の債券発行が見込まれる中、魅力的な投資機会を確保できる可能性が高く、PIMCOは自社の規模を生かし、そうした機会を捉えたい考えだ。
アイバシン氏は「不確実性やボラティリティー、この分野で企業がどう収益を上げるかを予測する必要性を踏まえると、オーバーウエートしたいセクターではない」と述べた上で、「ただ、資金需要が非常に大きいため、全体のエクスポージャーではディフェンシブでありながら、非常に大きな価値を引き出すことができる」と語った。

ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏はブルームバーグテレビジョンで、歴史的に大きな技術革新は投機的な過熱を生んできたと述べた。
「誰も正確には見通せない。市場シェアを獲得するために巨額の資金を投じ、それが過剰かどうかを気にしないか、十分な資金を投じずに市場シェアを失うかのどちらかだ」と述べた。
ダブルラインのコーエン氏は、企業が債務返済のために実質的な成長を必要とするにもかかわらず、投資家が負債による資金調達を提供する状態をクレジットバブルと定義している。歴史的に技術革新はこうした過熱につながる傾向があった。
コーエン氏は「AIバブルに入る確率はどれくらいか。おそらく100%だろう」と述べた。
原題:DoubleLine, Oaktree Brace for Potential AI Pain: Credit Weekly(抜粋)
--取材協力:Hannah Webster、Nabila Ahmed.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.