トランプ米大統領がイスラエルのネタニヤフ首相に対し、ベイルート南部への攻撃計画を断念するよう迫る中、イスラエル議会は選挙に向けた準備を始めた。ネタニヤフ氏は、軍事対応と選挙戦が迫る中、難しいかじ取りを迫られている。

イスラエルで最も長く首相を務めるネタニヤフ氏は、再選に向けてのアピールとして、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによる攻撃のような事態から国を守れるのは自分だけだということと、トランプ氏との緊密な関係が他の指導者にはない力を与えているという2点を柱に掲げる。しかし、議会が秋の選挙日程の設定に動く一方、イスラエルがおおむね反対する停戦合意をめぐる米国とイランの交渉からは外されている。ネタニヤフ氏の主張はいずれも厳しい局面にある。

トランプ氏は1日、ネタニヤフ氏が明らかにしたベイルートの親イラン民兵組織ヒズボラ関連施設への攻撃計画を厳しく非難した。ニュースサイトのアクシオスが報じ、イスラエル当局関係者も認めたところによると、トランプ氏はネタニヤフ首相を厳しく叱責した。こうした対応は、ヒズボラの後ろ盾であるイランとの停戦交渉を円滑に進めることを目的としたものだった。イラン側は、いかなる停戦合意にもイスラエルとレバノンを含めるべきだと主張している。

首相府はアクシオスの報道内容についてコメントを避けた。ネタニヤフ氏はその後の声明で、「ヒズボラがわれわれの都市や市民への攻撃をやめなければ、イスラエルはベイルートのテロリスト拠点を攻撃する」とトランプ氏に伝えたと明らかにした。

イスラエルのレバノン侵攻は、数千人の死者を出し、100万人以上を避難民にしたとして世界の多くの国から非難されている。国連安全保障理事会は、米国を除きほぼ全会一致でイスラエルに軍の撤退と攻撃停止を求めた。

イスラエル国内では、この侵攻は国家の存続に不可欠な措置として広く支持されている。ヒズボラは数百機のドローンやロケット弾、ミサイルをイスラエル軍に対してだけでなく、イスラエル北部にも撃ち込んでおり、4月以降、兵士を中心に20人超が死亡した。

一方、トランプ氏にも11月の中間選挙を控え、自ら抱える政治的事情もある。ネタニヤフ氏はイランを完全に打ち負かして戦争を終結させるべきだと主張しているが、トランプ氏は交渉による和平へと傾きつつある。

米国ではイラン戦争は支持されておらず、国民の大半は正当性を見いだしていない。イランによるホルムズ海峡封鎖がエネルギーや食料などの価格上昇を招いていることも反発の一因となっている。

イスラエルは、ホルムズ海峡再開や停戦延長、イランの核開発をめぐる米国とイランの交渉において正式な役割は担っていない。レバノンでの衝突はこうした協議を複雑にしている。

トランプ氏はネタニヤフ氏を卓越した戦時指導者と呼び、汚職裁判での恩赦を求めるなど重要な同盟者だった。両氏は過去にも対立を見せながら最終的には歩調を合わせてきた経緯があり、関係悪化を断定するのは時期尚早だ。

もっとも、イスラエルのカッツ国防相は2日、トランプ氏は実際にはベイルート南部ダヒヤ地区へのイスラエルの計画を支持していると主張した。

原題:Netanyahu Maneuvers Between Trump and Voters as Election Looms

(抜粋)

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