投資会社ユリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は、円の対米ドル相場について、過去数カ月の軟調から上昇に転じる構えで、円を調達通貨としたキャリートレードの前提を覆す可能性があるとの見方を示した。

ジェン氏と同社エコノミスト兼ポートフォリオマネジャーのジョアナ・フレイレ氏は26日付のリポートで、低金利通貨で資金を借り入れ、一段と高利回りの資産購入に充てるキャリートレードの調達通貨として、円は投資家に選好されてきたと指摘した。

この投資戦略は今年、円安と日本の相対的に低い金利環境を背景に機能してきた。だが、ポジションが一方向に偏っている場合には特に、情勢の変化によって急反転するリスクがある。

ジェン、フレイレ両氏は、日本経済の成長加速が見込まれることに加え、日本銀行による政策金利引き上げの可能性や企業寄りの政策が重なることで、資金の日本回帰と円高の地合いが整うとの分析を示した。

「キャリートレードは、崩れるまでは安定して見える」と両氏は指摘し、ヘッジファンドがポジション解消を急いだ1998年10月の急激な円高・ドル安局面を例に挙げた。

日本の通貨当局による最近の円買い介入は、円売りポジションの縮小につながっている。ジェン、フレイレ両氏は日本当局と米財務省による協調介入実施の可能性があるとみている。

このほか、シティグループは来月の日銀金融政策決定会合に向けてドル売り・円買いを推奨しており、バンク・オブ・アメリカ(BofA)も最近、円相場を巡り強気に転じる三つの材料を示した。

ユリゾンSLJのチームは、円高・ドル安の進行に危機的状況が必要になるとは考えておらず、1998年の経験は「振り返る価値がある」と指摘した。一方で、当時とは異なる点もあるとし、日本経済や金融システムは現在の方がはるかに強固だとしている。

円相場は26日午後のニューヨーク市場で一時1ドル=159円33銭を付けた。米国とイスラエルが2月末にイランへの攻撃を開始してエネルギー市場が混乱する前の約156円から円安が進んだ水準にある。

ジェン、フレイレ両氏は「石油ショックによって、ドル・円相場の調整局面は先送りされた可能性がある」と分析。その上で、22日に就任したウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の下で、「連邦準備制度はいずれ利下げを再開する可能性があり、その時点では日本経済が一段と強い円を十分に吸収できる力を備えていると考えられ、再びドル・円に注目が集まるだろう」との見方を示した。

原題:Stephen Jen Sees Yen Strengthening, Putting Carry Trades at Risk(抜粋)

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