(ブルームバーグ):オランダの銀行INGグループは、より規模の大きい競合行に対抗するため、為替やクレジット向け電子取引ツールの構築に人工知能(AI)による「バイブコーディング」を活用している。
バイブコーディングとは、手作業でコードを書くのではなく、AIに作りたいものを指示して生成させる手法を指す。INGの電子取引部門グローバル責任者、サイモン・ベバン氏によると、これにより開発チームが数週間かけていた作業を数時間に圧縮できるという。同行は最近、リアルタイム価格や流入する取引、パフォーマンス指標を表示する分析ダッシュボードの構築に活用した。
ベバン氏はインタビューで、「最近では、クレジット電子取引システム全体の構築にバイブコーディングをかなり大規模に活用した」と述べた。同社は外部モデルを利用しており、アンソロピックのモデル利用で最も高い成果を得ているという。
INGは世界的な大手行に比べて資源が限られる中、より多くのビジネスの獲得に向けて技術投資を強化している。ベバン氏によると、行内で開発したAI為替価格モデルにより、大口取引は当初50%増加した。ただ、1日当たり「数百億ドル規模」の取引を監督する部門でAI依存を強めることは、出力ミスや予期せぬ挙動が生じた場合のリスクを伴う可能性がある。
同氏は「リスクがはるかに大きい実際の取引システムでも活用を始めている」と述べた。
AIの急速な進展は金融業界を変革しつつあり、技術をいかに効果的に活用できるかによって勝者と敗者に分かれる恐れがある。多くの銀行は、バックオフィスやミドルオフィスでのコスト削減効果について積極的に言及している一方、収益源であることが多いフロントオフィスの取引への影響について語られることは比較的少ない。
自動化競争には巨額のコストが伴いかねず、小規模プレーヤーには競争力維持に必要なコンピューティング能力への投資がより難しくなる可能性もある。
ベバン氏は「一部の大手銀行は、こうしたプロジェクトに資金と人員を大量投入できる」と述べた上で、自身の10人チームは戦略面でより創造的である必要があると説明。「われわれには大量の人員はいない」と付け加えた。
INGはデジタル化やAI、顧客ニーズの変化への対応として、効率化のため2026年に世界で約1250人のオペレーション部門職を削減する。ベバン氏によると、AIはトレーダーの役割や採用したい人材像も変えつつあり、将来的な労働力は、複雑なシステムを監督する少数精鋭の行員を中心に構成される可能性が高いという。
同氏は「ここ数年で、ますますテクノロジー中心になっている。20年前なら、カリスマ的なトレーダーや営業担当者が求められていたはずだ。だが今の市場は、コンピューター科学や物理学の博士号を持つオタクであふれている」と語った。
原題:ING’s ‘Vibe Coding’ AI Is Building Its New Trading Systems(抜粋)
原題:ING’s ‘Vibe Coding’ AI Is Building Its New Trading Systems(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.