人工知能(AI)関連の設備増強から恩恵を受けるのは、もはや一部の大手ハイテク企業にとどまらない。ブロンプトン・ファンズのローラ・ラウ氏は、その例として味の素を挙げる。

味の素はスープや野菜料理などに使われるグルタミン酸ナトリウム(MSG)、いわゆる「うま味調味料」で知られるが、高性能半導体のパッケージに使用される絶縁材「ABF(味の素ビルドアップフィルム)」も手掛けている。

カナダのトロントに拠点を置くブロンプトンで最高投資責任者(CIO)を務めるラウ氏は、昨年7月に味の素株を購入し、10月に買い増した。今年に入ってからの株価上昇率は61%で、このままいけば1986年以来の大きな年間上昇となる。

味の素は、AI革命の二次的な恩恵を受ける企業が、シリコンバレーの巨大テクノロジー企業にとどまらないことを示す好事例だ。

メタ・プラットフォームズやアルファベット、マイクロソフトなどがAIインフラ構築に数千億ドル規模の資金を投じる中、ラウ氏は「資金が流出していく側より、流入してくる側に付いていたい」と述べた。

味の素のウェブサイトによれば、同社はパソコンやデータセンター向けサーバーなどに使用される絶縁材で、世界市場の95%以上を握っている。

今月発表した2026年3月期決算によれば、冷凍食品事業がリコールの影響などもあって減益となった一方、ABFの好調を受け、電子材料などの部門は「大幅増収・増益」を達成した。

ラウ氏は「調味料や食品事業が売上高の中心だとしても、フィルム事業は高収益かつ参入障壁が高く、味の素の利益成長を力強くけん引している」と語った。

同氏のチームは、AIインフラ増強による二次的・三次的な恩恵を受ける企業を探す中で味の素を見いだした。このほか、ヘリウム生産企業などにも目を向けている。ブロンプトン・ファンズの運用資産額は20億米ドル(約3190億円)。

これまでウォール街のストラテジストらの大半は、AI投資ブームの恩恵を受ける銘柄を比較的限定して捉えてきた。例えばUBSの「AI勝ち組バスケット」には、主としてAI技術を開発する「マグニフィセント7」や半導体メーカー、一部の電力会社などが含まれている。同バスケットの年初来上昇率は45%。

しかし投資家の視線は現在、そうした分野を大きく超えて広がっている。今月初めにはTOTO株が前日比18%急騰し、上場後で最大の上げを記録した。AI需要の強さに対応するため、半導体部材事業への投資を拡大する方針を示したことが好感された。

アクティブ運用者にも追い風

AI勝ち組の二次的恩恵銘柄を探す動きは、アクティブ運用者の成績向上にもつながっている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の集計データによれば、S&P500種株価指数の構成銘柄間の相関は2018年以来の低水準となり、銘柄間のパフォーマンス差は金融危機以来の水準に拡大した。BofAは「アクティブ運用の好機」と位置付けている。

この結果、大型アクティブファンドの約43%が今年これまでのところ、S&P500種を上回る成績を上げている。比率は2025年の29%から上昇し、2000年以降の長期平均である37%をも上回った。

BofAの米国株・クオンツ戦略責任者、サビタ・スブラマニアン氏は「半導体サプライチェーンやAIインフラ増強を綿密に追っているアクティブ運用者にとって、市場における銘柄間のパフォーマンス格差拡大が追い風になっている」と指摘した。

また、現在のようなAIインフラ増強局面では、少数の巨大テクノロジー企業の中から勝者を選ぶより、その外で恩恵を受ける企業を選別する方が容易かもしれないと語った。

原題:Trader Hunt for AI Winners Leads to Seasoning Maker in Japan (1)(抜粋)

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