(ブルームバーグ):インドの国営燃料小売各社は、10日間で4回目となるガソリンと軽油価格の引き上げを実施した。世界のエネルギー市場の混乱を受けた措置で、国内のインフレリスクを一段と高める可能性がある。
国営のインディアン・オイルとバーラト・ペトロリアム、ヒンドゥスタン・ペトロリアムは、ニューデリーでガソリン価格を2.6%引き上げ、1リットル=102.12ルピー(約170円)とした。軽油も2.9%上げて95.20ルピーに設定した。各社の発表資料とウェブサイトのデータで明らかになった。3社でインドの燃料小売市場の約9割を占める。価格は全国で引き上げられたが、地方税の違いにより水準は州ごとに異なる。
今回の値上げにより、過去10日間の累計上昇率はガソリンが7.8%、軽油が8.6%となった。いずれの価格も2022年5月以来の高水準。

インドはかなり前に小売燃料価格を自由化したが、モディ首相率いる政府は約4年間、店頭価格を実質的に凍結してきた。イラン戦争で原油価格が急騰し、インド・ルピーが対ドルで下落したため、国営精製会社の損失が拡大し、この政策の維持は一段と困難になっていた。
農産物の収穫期に燃料消費が急増したことに加え、民間小売会社との価格差拡大も在庫を逼迫(ひっぱく)させ、値上げ要因となった。
直近の価格調整後も、国営小売会社は市場連動水準を下回る価格で燃料を販売している。石油・天然ガス省のシャルマ次官補は25日、ニューデリーで開いた記者会見で「石油販売会社の損失は1日当たり100億ルピーから、現在は60億ルピー弱まで縮小した」と述べた。
英石油大手シェルなど民間事業者は、インド各地の給油所でガソリンを1リットル=116ルピー超、軽油を127ルピー超で販売している。
モティラル・オズワル・ファイナンシャル・サービシズのエコノミスト、ラディカ・ピプラニ氏は「小売燃料価格の追加引き上げと、液化石油ガス(LPG)価格の引き上げがさらに実施されると予想している」と指摘。「燃料価格の上昇はインフレに影響する。インド準備銀行(中央銀行)の今年度のインフレ率見通しが4.6%であるのに対し、われわれは前年比5.7%上昇とみている」と述べた。
インド準備銀行の金融政策委員会は6月3-5日に会合を開き、政策金利を決定する。野村ホールディングスでアジア(日本除く)担当チーフエコノミストを務めるソナル・ヴァルマ氏は、中銀が様子見姿勢を取ると予想する。燃料価格の引き上げは消費者物価指数(CPI)を累計で38ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)押し上げると同氏はみている。
原題:India Raises Diesel, Gasoline Prices for Fourth Time in May (2)(抜粋)
--取材協力:Ashutosh Joshi.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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