(ブルームバーグ):政府は中東情勢を受け、経済活動や国民生活への支援を目的に、追加歳出3兆円強の2026年度補正予算案を国債の市中発行額を増やさずに編成する。来週にも国会に提出する予定だ。高市早苗首相が25日、記者団に表明した。
財源は赤字国債で賄う。首相によると、25年度は税収の上振れなどを背景に、当初想定していた国債発行のうち約3兆円が減額できる見通し。補正予算で追加発行する国債の金額を減額の範囲内に抑えることで、「国債マーケットに影響を与えることなく、実行可能と考えている」と説明した。
国債市中発行額を増やさない背景には市場で財政拡張への懸念を背景に金利上昇が続いている状況がある。首相は「責任ある積極財政の考えの下、引き続き、日々の市場動向や経済指標を十分注視」しながら、政府債務残高対国内総生産(GDP)比を安定的に引き下げ、「財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していく」と強調した。
中東情勢の混乱長期化やインフレを巡る先行き不透明感、財政拡大への警戒が根強い中、日本の10年債利回りは先週一時2.8%と、1996年以来の高水準に達するなど国債金利は上昇傾向にあった。

予備費
首相は電気・ガス需要が高まる7-9月に料金の補助も再開する方針も明らかにした。1キロワットあたりの支援額は3.5円から4.5円。標準的な家庭で3カ月で5000円程度の負担引き下げ効果が見込まれ、昨年夏の水準を下回る。
補正予算に先立ち26年度当初予算の予備費として積んだ1兆円の中から5000億円程度を活用する方針で、26日の閣議で決める。
補正の歳出面は予備費の計上が軸になる。一般予備費から支出する電気・ガス代支援5000億円の補てんや中東情勢に伴うエネルギー価格の高騰や国際情勢の変化への対応に特化した特別予備費の計上に充てる。地方で利用が多いLPガスの料金補助などを想定し、「重点支援地方交付金」向けにも予算を積む。
ガソリン補助金
4月に当初予算が成立したばかりにもかかわらず補正予算の編成に踏み切るのは、原油価格が国民生活に及ぼす影響を和らげるためだ。イラン戦争を巡り、米国とイランがホルムズ海峡の通航再開に向けた合意に近づきつつあると報じられる中、原油価格は4月末のピーク時から軟化傾向にあるものの、依然高水準で推移している。
政府は3月からガソリン補助金を再開。価格を1リットル当たり170円程度に抑えているが、与野党から発動水準の引き上げなど見直しを求める意見が出ている。
同補助金の扱いは今後の焦点となるが、首相は「今後の物価動向や経済に当てる影響を注視するとともに、政府として必要な検討を進める」と述べるにとどめ、明確な方向性は示さなかった。
経済産業省によると、4月末時点におけるガソリン補助金の基金残高は約9800億円。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、6月下旬にも枯渇する可能性があると試算していた。
一方、首相は毎年、エネルギー需要が増大する夏と冬の前に行ってきた省エネの呼びかけを行う方針も示した。詳細は赤沢亮正経済産業相が26日に説明すると述べた。ただ、「現時点では、経済活動にブレーキをかけるような形で中東情勢を背景として踏み込んだ節約というものをお願いする段階ではない」とも説明した。
(高市首相の発言を追加し、更新しました)
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