米連邦準備理事会(FRB)のトップに就いたケビン・ウォーシュ氏について、債券投資家の間では、トランプ米大統領による利下げ要求よりも、FRBのインフレ対策への信認維持を優先するとの見方が広がっている。

イラン戦争が2023年以来最大のインフレ加速を引き起こす中、市場ではFRBが12月までに利上げを開始することがほぼ確実視されている。3カ月前には追加利下げ観測が優勢だっただけに、市場予想は大きく転換した。

変化の背景には、中東情勢の混乱や底堅い米経済、人工知能(AI)投資ブームによる株高の影響がある。いずれもインフレ率がFRB目標の2%を当面上回り続けるとの懸念を強めている。

先週は値動きの荒い1週間となる中、FRBの政策見通しに最も敏感な米2年国債利回りは22日に一時4.14%まで上昇し、1年超ぶりの高水準を付けた。FRBの政策金利誘導目標レンジ上限を約40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回った。30年債利回りも先週、一時5.2%に達し、07年以来の水準を付けた後、5.06%へ低下した。

ウォーシュ氏が議長に就任した中、FRB当局者の間では金融緩和寄りの姿勢を修正する動きが強まっている。ウォラーFRB理事は今年、労働市場保護を理由に利下げを主張していたが、22日には次の政策変更が利上げとなる可能性も同程度あるとの認識を示した。今週はジェファーソンFRB副議長やニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁ら、多数の当局者が発言を予定している。

ウォーシュ氏の就任宣誓が行われた22日、これまで繰り返しFRBに利下げを求めてきたトランプ大統領は、ウォーシュ氏に独立した立場でFRBを率いてほしいと述べた。

一部投資家は、利回り上昇と利上げ観測の織り込みを受け、短期米国債に対してより強気になっている。

キャピタル・グループのポートフォリオマネジャー、チトラング・プラニ氏は「利上げのハードルは依然としてかなり高いと考えている。FRBとウォーシュ氏は、インフレが労働市場や金融環境にどう波及しているかを十分に見極めるため、次の一手に進む前にやや慎重姿勢を取りたいのではないか」と指摘。「個人的には、ウォーシュ体制になっても、経済指標に対するFRBの反応関数が過去と大きく変わるとは考えていない」と述べた。

債券市場では、FRB当局者の発言分析に加え、今週予定される2年、5年、7年物の米国債入札を通じた投資家需要の動向にも注目が集まる。

原題:Treasury Market Ushers in Warsh Era With Bets on 2026 Rate Hike(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.