(ブルームバーグ):トランプ米大統領の側近らは、先に行われたケンタッキー、ルイジアナ、インディアナ各州の共和党予備選で同氏が推した候補が連勝したのを受け、「MAGA(米国を再び偉大に)」支持層に対する強い影響力が改めて示されたと自信を深めている。
19日に投開票が行われたケンタッキー州下院第4選挙区の予備選では、トランプ氏が「刺客」として推薦した候補エド・ガルレイン氏が、トランプ氏を公然と批判してきた現職マッシー議員に勝利した。この選挙結果は、共和党内におけるトランプ氏の支配力を測る指標として注目されていた。
ホワイトハウスのスティーブン・チャン広報部長は同予備選終了後、「トランプ大統領とその政治力を決して侮ってはならない」と語った。
しかし、11月の中間選挙を前に、共和党はMAGA支持層以外では守勢に回りつつある。
ガソリン価格はイラン戦争が長期化するなかで高止まりし、景気全体への影響も懸念されている。長期金利も上昇基調が続き、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に追加利下げを見送るだけでなく、利上げに転じるとの観測も浮上している。
また、トランプ氏による一部の支持表明が、かえって共和党全体の選挙戦を不利にするとの懸念も出ている。26日に決選投票が行われるテキサス州の予備選では、トランプ氏は現職のコーニン上院議員ではなく、保守強硬派で物議を醸してきたパクストン州司法長官の支持を表明した。
共和党穏健派のマカウスキ上院議員は19日、「仮にテキサスのような重要州で議席を失うことになれば、大統領の政策課題の実現にどうつながるというのか」と語った。

連邦議会では、ホワイトハウスのボールルーム(宴会場)新設計画を巡り、当初は民間資金で賄うとしていたにもかかわらず、連邦予算を充てる案に共和党の上院議員らが反発している。イラン戦争を巡っても、議会内では不満の高まりを示す動きが出始めている。
要するに、トランプ氏はMAGA支持層への強い求心力を維持しているものの、ホワイトハウスへの返り咲きを支えた幅広い支持基盤では、不満や動揺が広がり始めている。
政治分析サイトのクック・ポリティカル・リポートは先に公表したリポートで、「トランプ氏はMAGAの主導権争いでは圧倒的優位に立っている。ただ、中間選挙で勝利するにはMAGA支持層だけでは不十分だ」と指摘した。

20日に公表されたクイニピアック大の最新世論調査は、そうした見通しを浮き彫りにした。トランプ氏の経済運営を支持すると答えた有権者は33%にとどまり、1期目と2期目を通じて最低水準となった。一方、不支持は64%に達した。
共和党の選挙戦略にとって特に深刻なのは、無党派層の70%がトランプ氏の経済運営を支持していない点だ。多くの国民が直面する問題に十分取り組んでいないとの回答は68%に達した。調査は登録有権者1106人を対象に実施し、誤差はプラスマイナス3.4ポイント。
最近の他の世論調査でも、2024年大統領選でトランプ氏の勝利を後押しした母親層や若年男性、一部の黒人男性、ヒスパニック系有権者が、共和党から距離を置き始めていることが示されている。
もっとも、こうした層が民主党支持に転じているわけではない。ただ、民主党にとっては、不満を抱く有権者を取り込み、下院や上院の奪還につなげる余地が生まれている。
民主党のカンナ下院議員はブルームバーグ・ニュースの取材に対し、「共和党内では世代間の分断が起きている」と指摘。「民主党が支持を失った若い男性層に再び訴えかけ、呼び戻す好機になる」と語った。
民主党は、物価高対策を前面に打ち出し続けることで勝機を見いだそうとしている。歴史的にみても、中間選挙では政権与党が議会の議席を減らす傾向がある。トランプ氏自身も記者団や支持者に対し、物価高対策の重要性を繰り返し訴えてきた。
11月の中間選挙では民主党が優位との見方が根強い。ただ、トランプ氏と共和党陣営は、民主党を「左傾化しすぎた政党」と位置づけ、対決構図を鮮明にすることで、歴史的な流れを覆せるとみている。

原題:Trump’s Winning Streak Masks Widening Cracks Outside His Base(抜粋)
--取材協力:Jennifer A Dlouhy、Jamie Tarabay、Erik Wasson.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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