(ブルームバーグ):ロシア軍が運用していた数千台の携帯型スターリンク衛星通信端末が停止され、ウクライナ軍は今年前半の攻勢で約400平方キロメートル分の領土を取り戻した。米国防総省傘下の国防情報局(DIA)が明らかにした。
今回の攻勢は、ウクライナにとって2023年以来の領土奪還となる。DIAは使用端末停止でロシア軍の能力が「一時的だが大幅に低下した」ことが戦果につながったと説明。この内容は、米議会向けに義務付けられている対ウクライナ支援評価報告書の最新版で判明した。
今週公表された報告書によると、ロシア軍はイーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXが構築・運営するスターリンク端末を用い、部隊の移動やドローン攻撃を調整していた。
DIAと米欧州軍は、「通信が不安定、または妨害されやすい地域で、部隊の移動や無人機攻撃の調整にロシア軍が違法で利用していた数千台のスターリンク端末を、ウクライナ当局が2月に停止させた結果、ロシア軍の能力は一時的ながら大幅な能力低下に直面した」と結論付けた。
ウクライナに展開するロシア軍は、政府による通信アプリ「テレグラム」規制でも通信面の打撃を受けた。前線兵士の間では戦場連絡手段として利用されており、通信制限はロシア兵の反発を招いた。
スターリンクの重要性
DIAによるスターリンク分析は、4年余りに及ぶ戦争でのスターリンク端末の重要性を改めて示している。ただ、DIAはロシア軍が3月時点で、戦闘機能の大半でウクライナ軍に対する優位をなお維持しているとも指摘した。
ウクライナ国防相顧問のセルヒー・ベスクレストノフ氏は2月に、スターリンク喪失は「敵にとって単なる問題ではなく、災害だ。部隊指揮系統は崩壊し、多くの地域で攻撃作戦が停止された」と述べていた。
スターリンクは公式にはロシア軍向けに提供されていないが、24年にはロシア兵が端末を入手し、インターネット接続に利用しているとの報道が出始めていた。ウクライナ側がロシア軍のドローン攻撃に一部スターリンク端末が利用されたと、スペースXに通知していた。
スペースXは2月、スターリンク端末の継続利用に必要な正式登録手続きについて別途案内を公表。マスク氏もXへの投稿で、ウクライナ国内のスターリンク利用者に手続き順守を呼びかけた。
国防総省当局者は24年6月、スペースXがウクライナにおけるロシア軍の違法利用阻止に向け、米軍と緊密に協力していると議会に説明していた。
原題:Ukraine Retook Territory After Hobbling Starlink, Pentagon Says(抜粋)
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