(ブルームバーグ):双日の渋谷誠最高財務責任者(CFO)は12日、経済安全保障の観点から調達の多角化が課題となっている希土類(レアアース)について、アジアからの追加供給を視野に入れていることを明らかにした。
渋谷氏はインタビューで国や地域を限定しているわけではないとしつつ、中国南部に連なるラオス、カンボジア、ベトナムを挙げ、「可能性があるとしたら、我々がそういう中で話ができやすい所で探していく」と述べた。交渉に進んでいる具体的な案件は現時点ではないという。
同社はレアアースのうち、軽希土類では国内需要の7割超を供給するキープレイヤーだ。足元で需要が高まっている中重希土類についても同3割を目指すとしている。3月には間接的に出資する協力先の豪ライナス・レアアースとともに豪州内外で新規鉱山の開発を検討し、中重希土類の供給拡大を目指すと発表していた。
レアアースは自動車や航空機などに使われ、「産業のビタミン」とも呼ばれる。安定調達が欠かせないが、埋蔵量と生産量で世界首位の中国が政治的な駆け引きに使うケースが起きており、供給懸念が高まっている。
渋谷氏は、レアアースは市況高騰にあわせて急激にもうかるような事業ではないと説明。一方で「確実に取り扱うことでわれわれの安定的な利益が積み上がってくる」と中長期的なリターンが望めると述べた。
同社は今期(2027年3月期)までの3年間で純利益を3600億円(年平均1200億円)稼ぐ目標を掲げたが、渋谷氏は苦境が続く豪州の原料炭と中古車販売の事業で減損損失を計上した分が未達となるとの見通しを示した。
原料炭は19年に豪クイーンズランド州のグレゴリー・クライナム炭鉱の全権益を取得した。ただ中国での景気後退などを背景に原料炭の市況は低調に推移。さらに鉱山運営のノウハウが思うように生かせない問題も生じ売却方針を明らかにしている。時期については「遅くとも上期にはイグジットしたい」と述べた。
同国の中古車事業も業績改善に取り組みつつ、譲渡を視野に検討を進める。人気車種を仕入れ、販売までのプロセスを効率化することで利益率を高めようとしており、一定の成果は出ているとした。ただ、販売台数を自社で拡大するには時間がかかるとして、「ずっとやり続けるという選択はない」と述べた。
「次の中期経営計画がスタートする時には一定の整理が終わっている形」を目指すと語った。
--取材協力:前川祐補.
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