(ブルームバーグ):通貨当局による為替介入と見られる動きが繰り返された後も、円は1ドル=155円を突破できなかったことで、市場では円高の持続性について懐疑的な見方が広がっている。
4月30日以降、円は急騰する場面が複数回あったが、いずれも155円に達する手前で失速し、その後上昇幅を縮小した。日本の通貨当局には介入を継続するのに十分な外貨準備があるが、足元の値動きはドル需要の根強さと円高方向へ流れを転換させる日本の対応力に限界があることを示唆している。
経済情勢は引き続きドル高を後押ししている。イラン情勢の緊張緩和への期待はあるものの、エネルギー価格は高止まりが続く。日本銀行は追加利上げに動くにしても1カ月以上先であり、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切る気配は乏しい。
オーバーシー・チャイニーズ銀行の為替ストラテジスト、 モー・シオン・シム氏らはリポートで、「焦点は財務省が円の防衛を続けるのか、それともすでに十分な介入資金を投じたのかという点だ」と指摘。その上で、介入だけで円安という大きな流れを変えることは難しいとの見方を示した。
事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、政府・日銀は円が介入警戒水準と広く見なされている160円台に下落した後の4月30日に円買い介入に踏み切った。当局は介入を認めていないが、日銀当座預金残高の分析から約5兆4000億円を投じたと推計される。
トレーダーらは、日本の大型連休中の5月1日、4日、6日に見られた急激な値動きも、当局による介入をうかがわせるものだと指摘する。
JPモルガンのストラテジスト、斉藤郁恵氏は、ドル・円の160円ラインを防衛することは市場からの集中攻撃を招くリスクがあるため、戦略的に脆弱(ぜいじゃく)に見えると話す。
日本の通貨当局は2024年、円が160円17銭付近まで下落した後に円買い介入を実施。その後も157円99銭、161円76銭、159円45銭を付けたそれぞれの局面で追加介入を行い、介入総額は15兆円を超えた。
今回は160円72銭まで円安が進んだ後に介入に踏み切り、その後の介入と見られる動きにより、円は6日に一時155円04銭と10週間ぶり高値まで上昇。その後は反落し、7日午後は156円台前半で推移している。
ゴールドマン・サックス・グループのアナリストによると、日本にはなお介入を行うのに十分な資金余力があり、先週と同規模であれば最大30回の実施が可能だという。
三村淳財務官は7日、投機的な動きに対し、原油先物市場への介入も含め「照準は全方位に向けている」と述べた。為替介入に関する国際通貨基金(IMF)の基準を巡り、回数を制約するルールはないとの認識も示した。
もっとも、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのシニア債券ストラテジスト、駱正彦氏は、市場は介入を特定水準の防衛と捉える傾向を強めており、介入の効果は明らかに低下していると指摘。「日銀から政策の遅れを解消するための連続利上げといった、より強力なフォローがない限り、円は当面弱含みで推移する可能性が高い」とみている。
原題:Yen Intervention Rally Faces High Hurdle at 155 to the Dollar(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.