(ブルームバーグ):三村淳財務官は1日朝、政府・日本銀行が前日実施した為替介入に関し、「大型連休はまだ序盤」と述べ、さらなる対応に踏み切る可能性を示唆した。原油先物市場への介入についても体制を整備していると強調した。
事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、政府・日本銀行は30日に円買い介入を実施。外国為替市場では円がドルに対して一時155円57銭まで上昇し、2月末以来の高値を付けた。

介入の前には、片山さつき財務相が「いよいよ断固たる措置を取るタイミングが近づいている」と述べたほか、三村財務官も投機筋を念頭に「これを最後の退避勧告として申し上げる」と警告を発していた。
三村財務官は1日朝、為替介入を実施したかについては「コメントするつもりはない」とした。その上で、投機的な動きが見られるとの認識に変わりないとの見解を示した。省内で記者団に語った。
今後の行動への言及は控えた。為替政策に関して、米国とは極めて緊密に連絡をとっており、認識は共有できているとも語った。
今回の介入の規模は約5.4兆円の可能性が高い。日銀が同日公表した7日の当座預金増減要因の予想値と介入要因を含まない市場推計の差が示唆している。
政府・日銀が最後に為替介入を実施したのは2024年7月で、当時は2日間連続で計5兆5348億円のドル売り・円買いを行った。
原油市場
片山財務相や三村財務官はこれまで、外国為替市場だけではなく原油先物市場にも介入する可能性をほのめかしてきた。原油市場での投機的な動きが円相場に影響を与えている可能性があるためだ。
昨夜の円急伸と歩調を合わせるように原油価格も下落しており、日本政府による関与があったかどうかが焦点として浮上している。三村財務官は一般論と前置きしつつ、「原油先物取引についてもわれわれの執行体制は常に整えている」と述べた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、三村財務官の1日朝の発言について、「特に目新しい内容はなく、意外感はなかった」と述べ、為替は再び円安方向に戻るとの見方を示した。
一方で、本来は162円前後での実施が想定されていた介入について、市場では160円手前で円買いの動きが強まった点が「サプライズ」と受け止められていると指摘。その上で、「もう一度入ってもおかしくない。もう一度入られると痛い」と述べ、円安の進行は限定的になるとの見方を示した。
1日の日本市場では円が対ドルで157円台前半に反落。為替介入から一夜明け、円買いの勢いは一服していたが、同日午後に再び155円台半ばまで円が急伸する場面があった。
午後の動きについて、三村財務官は「引き続きコメントはしない」と述べた。高い緊張感を維持しつつ対応するかを問われたが、「連休は続いているので」と答えるにとどめた。
口先の効果減退
今回、市場介入に踏み切った背景には、すでに「口先」でのけん制効果が薄れてきている事情がある。為替介入を示唆する「断固たる措置」は本来、警告度合いが最も高い文言の一つだが、片山財務相が度々口にしてきたことで市場が慣れてしまった面がある。
直近では4月28日の閣議後会見で「かねてから断固たる措置に言及している」と発言したが、円相場の反応は鈍かった。
高市早苗政権が日銀の利上げに対して消極的とされることも円安が収まらない要因の一つだ。日銀が利上げをすれば、ドル・円相場は日米金利差の縮小を通じて円高方向に向かいやすいが、金利を上げずに為替だけを局所的にたたくとすれば、手段は為替介入に限定される。
日銀は4月の金融政策決定会合で利上げを見送り、植田和男総裁の会見を経て円安が進んだ。
(午後の円急伸と財務官のコメントを加えて更新します)
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