(ブルームバーグ):今年のロンドン・マラソンでは、かつて不可能とされた2時間切りを2人の選手が達成し、アスリートや観客を驚嘆させた。この快挙は、ドイツのスポーツ用品メーカー、アディダスにとっても追い風となる。両選手が同社の新型超軽量のレーシングシューズを着用していたためだ。
ケニアのセバスチャン・サウェ選手は1時間59分30秒という驚異的な世界新記録を達成し、大会記録を1分以上更新した。エチオピアのヨミフ・ケジェルチャ選手も11秒差の2位で続き、自身初のマラソンながら際立った成績となった。
女子では、エチオピアのティギスト・アセファ選手が2時間15分41秒で優勝。これは自身が昨年打ち立てた女子単独レースの世界記録をやや上回るタイムだった。
3人はいずれも「アディゼロ アディオス プロ エヴォ3」を着用していた。500ドルの同モデルは23日に発表され、標準サイズで97グラム。過去10年間で長距離走の競技を大きく変革してきたランニングシューズの中でも最軽量となる。
アディダスのランニング部門ゼネラルマネジャー、パトリック・ナバ氏は、「これは選手たちと当社の開発チームが長年積み重ねてきた成果であり、新たな水準を示すスーパーシューズだ」と述べた。
2019年にウィーンで開催されたナイキ主催のイベントでは、エリウド・キプチョゲ選手が史上初の2時間切りを達成したが、今回サウェ選手はそのタイムさえ上回った。キプチョゲ選手は、レースの大半を通して複数のペースメーカーの支援を受けたため、同イベントでのタイムは世界記録として認定されなかった。
一方、今回のロンドン・マラソンでは、公式ペースメーカーらが離脱した後も、サウェ、ケジェルチャ両選手が終盤まで競り合った。
スポーツブランドにとって、最新シューズで著名選手が優勝することはその性能を裏付ける好材料となる。米調査会社サーカナによると、ランニングシューズ市場は拡大しつつあり、米国では2月までの1年間で13%増の81億ドル(約1兆2900億円)に達した。
30年までに世界売上高が1040億ドルに達するとみられるパフォーマンスシューズ分野の中でも、ランニングシューズ市場は中核を成す。英調査会社ユーロモニターのデータによる。
アディダスは近年、ランニング事業の再構築を進めており、フランスのホカ(HOKA)、スイスのオン(On)、米国のブルックス(Brooks)といった新興ブランドの台頭を背景に、人気の高まりを取り込もうとしている。サウェ選手らが使用したシューズよりも日常向けのモデル「アディゼロ エヴォSL」(150ドル)の強い需要にも支えられている。
こうした取り組みは、「サンバ」や「ガゼル」といったファッション系モデルへの依存を減らし、パフォーマンススポーツ分野での収益拡大を目指すビヨン・グルデン最高経営責任者(CEO)の戦略の一環とされる。
原題:Adidas Gets Running Lift From Two Sub-2-Hour Marathons (1)(抜粋)
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