(ブルームバーグ):政府は21日、防衛装備移転三原則と運用指針の改正を決定した。殺傷能力のある武器を含む国産の完成品の移転を原則可能とする。武器を紛争国に移転することも、安全保障上の必要性がある場合は例外的に可能とする。
これまで、国産の完成品移転は、用途を非戦闘目的の救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限定していた。戦闘機など殺傷能力のある武器については共同開発など例外的にしか認めていなかった。今回の改定は同志国との連携や国内防衛産業の強化につなげるねらいがある。
木原稔官房長官は同日午前の記者会見で、防衛装備移転をさらに推進し、「同盟国・同志国の抑止力・対処力」と「国内の防衛生産、技術基盤」を強化することが重要と指摘。戦後築いてきた「平和国家としての基本理念を堅持する」とも述べ、武器輸出は具体的な案件ごとに一層厳格に審査するとも強調した。
5類型の撤廃は昨年10月の高市早苗政権発足時に自民・日本維新の会で結んだ連立合意に盛り込まれていた。今年3月には与党プロジェクトチームが運用指針改正の検討を求める提言を首相に提出。イラン戦争など世界の安全保障環境が激変する中、政権発足から半年で改正が実現した。
原則可能となった国産完成品の移転のうち、武器の移転は防衛装備品技術移転協定の締結国に限定する。現在は米国、英国、豪州、インドなど17カ国。審査項目の拡充も明記し、移転先の防衛力や周辺国との軍事バランスへの影響、輸出管理体制などを考慮するとした。認めると判断した場合は国会に通知する。
武器の紛争国への移転は原則不可だが、「安全保障上の必要性を考慮して特段の事情がある場合」は例外的に可能とする。例として、同盟国である米国が紛争国となったものの、インド太平洋地域での米軍の態勢維持に向け移転するケースが想定される。判断は首相、官房長官、外務相、防衛相で構成する4大臣会合で行う。
防衛産業
他国と共同開発・生産する完成品については、パートナー国への移転がすでに認められており、18日にはオーストラリアと最新鋭のもがみ型護衛艦の改良型の建造契約を締結した。それに続く今回の決定となる。
英国や米国のように防衛に特化した大手企業が存在する国と異なり、日本の防衛産業は、主に他分野を本業とする少数の製造・技術系複合企業で構成されている。防衛事業は各企業の売上高全体の20%未満にとどまり、その大半は自衛隊向けの供給に限られてきた。
今回の改正を受け、政府は防衛装備移転の促進に官民一体で取り組むため、関係省庁の局長級による枠組みを設置する方針だ。木原氏は「今後の司令塔機能の在り方を含め、防衛装備移転を一層推進するための政府全体の体制整備に関するさらなる方策」を安全保障関連3文書の改定に関する議論の中で検討を進めたいとも述べた。
国内の防衛産業がより大規模かつ多様化すれば、米国製装備への高い依存の低減にもつながる可能性がある。日本は米国外で最大規模のロッキード・マーチン製F35戦闘機の保有国となる見通しだが、同時に英国、イタリアと共同で次期戦闘機の共同開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」も進めている。
オーストラリアとの護衛艦に関する契約締結を受けた20日、三菱重工業の株が一時前営業日比5.1%高と上昇したほか、川崎重工業株も同3.4%高、IHI株は同2%高と防衛関連株が軒並み上がった。ただ、21日は三菱重工株が下落して始まるなど伸び悩んでいる。
(木原官房長官の発言などを追加し、更新しました)
--取材協力:Alastair Gale.
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