(ブルームバーグ):中東情勢の展開が米国債相場の方向性を左右している。週末にはホルムズ海峡の状況を巡り、新たな不確実性も浮上した。
そうした中でも、21日には次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されたケビン・ウォーシュ元FRB理事の上院銀行委員会での公聴会が予定されており、市場を動かす可能性がある。

2月末の米国・イスラエルによる対イラン攻撃の直前、米国債相場は上昇基調にあった。トランプ大統領が1月終盤に指名を発表する前から、ウォーシュ氏は利下げ支持を表明しており、金融緩和を推進すると予想されていた。
ウォーシュ氏が従来の見解を維持し、戦争に起因するエネルギーショックを一時的と見なすとの観測が市場で強まれば、利下げ期待が高まって、政策金利見通しに敏感な短期ゾーンの米国債を押し上げる可能性がある。
一方で、ウォーシュ氏がインフレへの警戒を示せば、相場下落につながると想定される。
モルガン・スタンレーの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏らのチームは「市場にとっての重要な疑問は、ウォーシュ氏がどの程度強く利下げを主張するかだ」と指摘した。
イランでの戦争初期に、原油価格の急騰を受けて大幅上昇した米国債利回りは過去数週間、一定のレンジ内で落ち着いて推移。ボラティリティーも低下し、債券市場の変動性を示す指標の一つは、おおむね戦争前の水準近くまで戻った。

激戦時には年内利下げ期待が織り込まれなくなっていたが、17日時点のスワップ市場は、年末までに連邦準備制度の政策変更が行われる確率をおよそ50%と示唆。ただ、軍事衝突前に2回超の利下げが見込まれていた状況とは大きな隔たりがある。
こうした状況を踏まえ、金融当局がウォーシュ氏の下で雇用よりもインフレ抑制を優先するのか、債券投資家は強い関心を寄せている。インフレ率が2%の当局目標を上回る中での原油高について、金利を一段と長く高水準に据え置く論拠になると、投資家の一部は考えている。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「雇用面でネガティブサプライズがない限り、連邦準備制度は今年いっぱい様子見姿勢を維持するだろう」と話す。
その上で、ウォーシュ氏が就任早々、強いハト派姿勢を前面に打ち出しても、連邦公開市場委員会(FOMC)で同調する当局者が極めて少なければ「見栄えは良くないだろう」とも語った。マッキンタイア氏は米国債のアンダーウエートを維持している。

タカ派かハト派か?
ウォーシュ氏は生産性向上が低金利を正当化すると指摘している。一方で、2006-11年にFRB理事を務めた際にインフレタカ派として知られた経歴から、同氏がその側面を軽視することはないだろうと、DWSアメリカズの債券部門責任者、ジョージ・カトランボーン氏は語った。
カトランボーン氏はウォーシュ氏について、「彼はインフレに非常に注意を払うだろう。それこそ市場が聞きたい内容だ」と話す。カトランボーン氏は、主要政策金利フェデラルファンド(FF)金利の実効レートを上回る利回りとなっている米2年債など、短期ゾーンの米国債を選好している。
ウェルズ・ファーゴのストラテジストは、公聴会でのウォーシュ氏の発言は「同氏がハト派であるとの現在の見方を容易に揺るがしかねない」と警告。オプション市場が公聴会前後の値動きの可能性を過小評価しているとし、米国債利回りが不安定な動きとなる可能性があると指摘した。
モルガン・スタンレーのゲーペン氏は、ウォーシュ氏が年内利下げの可能性に扉を開いた状態を維持するだろうとみる。その一方で、「連邦準備制度の独立性を巡る懸念を招きかねないことを踏まえれば、金利の道筋について過度にハト派的になることはできないと考えられる」とコメントした。
「新たにFRB議長に就く人物は誰でも、インフレ抑制への信頼性を証明する一定の圧力に直面する。ウォーシュ氏も政策金利の引き上げが必要と判断する状況について問われる公算が大きい」と、ゲーペン氏は論じた。
原題:Next Catalyst for Treasury Bonds Is Named Kevin Warsh(抜粋)
--取材協力:Ye Xie.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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