セルビア警察・軍は、国内および隣国ハンガリーの大半にガスを供給する主要パイプライン付近で爆発物を発見した。ハンガリーは12日に総選挙を控えている。

セルビアのブチッチ大統領は5日、盟友関係にあるハンガリーのオルバン首相に電話し、「セルビアとハンガリーを結ぶ重要なガスインフラに対する脅威」を伝えたと述べた。

ブチッチ氏によると、パイプラインでは爆発物とともに起爆装置が見つかった。現場はハンガリー国境から約10キロに位置するカニジサ近郊だという。爆発物は「大きな破壊力」を持つと説明したが、被害は報告されていない。

今回の事件は、過熱するハンガリー選挙戦の終盤で起きた。オルバン氏は、ウクライナがハンガリーのエネルギーインフラに脅威を与えているとの主張を軸に選挙戦を展開しているが、世論調査を踏まえると、与党側は総選挙で敗北する可能性もある。野党側は与党フィデス・ハンガリー市民連盟とオルバン氏がこの事件を自作自演したと指摘している。

野党ティサ(尊重と自由)のペーテル・マジャル党首は声明で「過去に失敗した偽旗作戦に続き、オルバン氏がセルビアやロシアの支援を受けて新たに一線を越えるシグナルが、ここ数週間にさまざまな方面から寄せられている」と指摘。「イースター(復活祭)の時期にセルビアのガスパイプライン付近でそれが『偶発的』に起きると警告する声も複数あった。そして実際に起きた」とした。

オルバン首相は過去16年間、欧州でも屈指の強固な政治基盤を築いてきた。しかし、失速する経済と手ごわい新たな対抗勢力が、その体制を窮地に追い込んでいる

オルバン氏はカウントダウン表示を伴うフェイスブック投稿で、同パイプラインのハンガリー区間について「軍の警備強化」を命じたと明らかにした。このパイプラインは国内ガス供給の6割を担っているという。

爆発物設置の容疑者には言及しなかったが、ロシア産エネルギーへの反対姿勢を巡ってウクライナを改めて批判し、ホルムズ海峡を巡る危機がウクライナの立場をさらに強硬にしているとの認識を示した。

「欧州に迫るエネルギー危機は前例のない規模だ」とした上で、「だからこそ、ロシアからのエネルギーがこれまで以上に必要になる。ウクライナは長年にわたり、欧州をロシア産エネルギーから切り離そうとしてきた」と批判した。

欧州連合(EU)内でロシアのプーチン大統領に最も近い盟友とされるオルバン氏は、ウクライナがロシアとの戦いにハンガリー国民を引きずり込もうとする「敵」と位置付けてきた。これに対し、ウクライナ政府は、ハンガリーのエネルギーインフラを攻撃したり、選挙戦に干渉したりする意図を否定している。

原題:Explosives Found at Gas Pipe Near Hungary Before Election (1)(抜粋)

--取材協力:Zoltan Simon.

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