海運大手などが加盟する日本船主協会の長沢仁志会長(日本郵船会長)は25日、日本政府や顧客からの要請があれば、通常よりも大幅に迂回してサウジアラビアの紅海側で石油を積んで輸送することを検討する必要があるとの考えを示した。

長沢会長は都内で開いた記者会見で、アフリカ南端の喜望峰を回って地中海とスエズ運河を経由し、サウジアラビアの紅海沿岸にあるヤンブー港で石油を積んで日本に帰ってくるルートについて説明した。往復で約100日と、中東産原油をペルシャ湾で積み込みホルムズ海峡を抜けてインド洋を経由して日本に向かうルートに比べ約2.5倍の日数がかかる。

石油の備蓄が減少し、「本当に油がない、といったときに政府から要請があったり、石油会社がやるということであれば、真剣に検討してなるべくそういった期待に応えていくことはわれわれのミッションだ」と述べた。ただ、現時点ではまだそういった状況には至っていないとも語った。

Photographer: Stringer/Bloomberg

米国・イスラエルとイランの衝突の影響で、石油輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上封鎖された状態が続いており、エネルギー価格の高騰を招いている。ただ、トランプ米大統領は紛争終結に向けたイランとの交渉が進行していると主張しており、ホルムズ海峡封鎖の長期化は避けられる可能性も残されている。

一方、ホルムズ海峡を通らない代替ルートによる原油の出荷の試みもされている。サウジアラビアは東部の油田からアラビア半島を横断するパイプラインを活用し、紅海沿岸のヤンブー港からの原油積み込みを拡大している。ただ、日本の海運大手3社はイエメンの親イラン武装組織フーシ派による攻撃への懸念から24年1月までに紅海での運航を停止している。

長沢会長は、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡ではフーシ派による攻撃リスクがあるため「なかなか通れない」と述べ、ヤンブー港で石油を積むためにはスエズ運河経由になるとの考えを示した。

ホルムズ海峡を巡ってはイランは自国に対する攻撃行為を支援せず、同国が定めた規則を遵守する限り外国船の通航を認める考えを示している。イランはホルムズ海峡を航行する一部の船舶に対し通航料金の徴収を開始したと報じられており、同国の影響力を改めて誇示する格好となっている。

長沢氏は、イランによる領海内に船舶を通過させるための「安全回廊」設置などさまざまな情報が錯綜しており、ホルムズ海峡通航の判断は難しいと指摘。その上で、戦闘状態が停止した上で、機雷がないなど安全が確認がされれば、会社によっては運航再開の判断をする可能性があると話した。

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