(ブルームバーグ):日本政府が中東情勢の影響を受けている供給網の確保や金融市場の安定化に向けた対策に試行錯誤している。ナフサをはじめとした石油関連製品の確保に向けた対策のほか、円安是正を念頭に原油先物市場への介入も模索している。
高市早苗首相は24日、エネルギー源ではない石油関連製品の供給網維持に向け、世界の供給状況や国内在庫の量を踏まえた対応方針を取りまとめるよう、赤沢亮正経済産業相に指示した。
官邸で開催した中東情勢に関する関係閣僚会議で述べた。工業のみならず農業、医療などに関係する製品も念頭に置く。26日から石油の国家備蓄放出を開始する方針も明らかにした。ガソリン補助金など一連の措置を通じて「経済活動への影響を最小限に抑えるべく、全力で対応する」とも語った。

政府は24日、2025年度予備費から8007億円の使用を閣議決定した。このうちガソリン補助金の財源として7948億円を基金に充てる。
プラスチック製品などの原料となるナフサは、原油を精製して作られる。需要量の4割を国内の精製設備からの供給、4割を中東からの輸入で賄っている。
原油市場の安定化を巡って日本政府は11日、国内消費の45日分に相当する約8000万バレルを官民で放出すると発表。民間備蓄の放出は16日に保有義務を70日から55日分に引き下げる形で開始している。赤沢氏によれば、産油国との共同備蓄についても約5日分を3月中に市場に供給する。またホルムズ海峡を通らない代替ルート利用のタンカーが28日に初めて日本へ到着する見込みも明らかにした。
経済産業省の24日の発表資料によると、国家備蓄からは約850万キロリットル(約5346万バレル)を放出する予定で、総額は約5400億円になる。11カ所の基地から26日以降、順次放出し、相手先はENEOSホールディングス、出光興産、コスモエネルギーホールディングス、太陽石油の4社となる。
円安是正
一方、財務省が、原油先物市場への介入の可能性について市場参加者への聞き取りを行ったことが分かった。円安やエネルギー高騰を是正する狙いがあるとみられる。
複数の市場関係者によると、当局は国内主要銀行に接触し、原油先物市場への介入に関する見解をヒアリングした。

片山さつき財務相は24日の閣議後会見で、「原油市場の投機的な動きが為替市場にも影響しているというのは広く言われている」と発言。為替市場の動向に関し、「いかなる時もあらゆる方面で万全の対応を取る」と、市場をけん制した。
イラン戦争に起因する変動性の高まりを背景に価格が急騰する中、米政権は今月初め、原油先物への介入の可能性を協議したとされる。その後、ベッセント財務長官はこうした計画を否定した。
日本の財務省による今回の市場関係者への接触は、為替介入に備えて当局が行う「レートチェック」に似ている。1月には日米当局がレートチェックを行い、数時間のうちに円相場を1ドル=159円から152円へと押し上げた。
(情報を追加して更新します)
--取材協力:稲島剛史.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.