イランは20日、英領インド洋地域のディエゴガルシア島にある米英共同軍事基地に向けて弾道ミサイルを発射し、これまで知られていた能力を超えるミサイル戦力を示した。

同基地はイランから約2500マイル(4000キロメートル)離れた場所に位置し、B2ステルス爆撃機の運用が可能な戦略的航空拠点。事情に詳しい関係者によると、被害はなかった。3週間に及ぶ戦争の中で、イランがこのような射程距離を持つ兵器を使用したと報じられた初のケースとなった。

今回の攻撃は、スターマー英政権がディエゴガルシアを含む英国の基地について、「特定かつ限定的な防衛作戦」に米国が使用することを許可した数時間後に行われた。イランのアラグチ外相はこの英政府の決定を批判している。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙がこの攻撃について最初に報じた。米中央軍は攻撃に関するコメント要請に、直ちには応じなかった。英国防省は声明でディエゴガルシアに直接言及しなかったものの、イランによる「無謀な攻撃」を非難し、英国の利益および同盟国に対する脅威だと指摘。英空軍機などが地域の英国民や要員の防衛に当たっていると説明した。

射程距離が約2500マイルに及ぶ兵器は、ロンドンやパリを含む欧州の主要都市をイランの攻撃圏内に収めることになる。ただ、イランがこうした中距離弾道ミサイルをさらに保有しているかどうかは明らかではない。

パシフィック・フォーラムの上級研究員、ウィリアム・アルバーク氏は、このような射程距離のミサイルをイランが保有しているとは「誰も想像だにしていなかった」と述べた。「これは恐らく改良型のミサイル、あるいは試作機が使用されたことを意味する」とし、イランが改造を行える保管施設や工場を依然として有している可能性を示唆していると語った。

アルバーク氏は、イランが既存のミサイルから重量を減らしたり、弾頭を取り外したりすることで射程距離を延ばした可能性があると指摘。一度限りの改造型の設計だった可能性もあると付け加えた。

米ジェームズ・マーティン不拡散研究センターのジェフリー・ルイス氏は、イランには新型衛星打ち上げ機「ゾルジャナ」のように、弾道ミサイルへ転用可能な民生用ロケットがあることで知られていると述べた。

同氏は「イランは中距離弾道ミサイルとして使用可能な衛星打ち上げ機を複数保有している」と指摘。「われわれはこれまで、固体燃料のゾルジャナが2段式ミサイルとして4000〜5000キロの射程距離を持ち得ると推定してきた」と説明した。

固体燃料エンジンは推進剤の注入が不要なため、準備時間が短く、より短い警戒時間で発射できる利点がある。

米国とイスラエルは、イランのミサイル発射装置の約3分の2を破壊したと推計しており、ヘグセス米国防長官はイラン政権の攻撃能力が90%低下したと述べている。それでもイランはこれまでに数百発の弾道ミサイルと2100機を超えるドローン「シャヘド」で湾岸地域の標的への攻撃を続けている。

原題:Iran’s Strike Attempt on Diego Garcia Reveals Missile Range (3)(抜粋)

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