イラン当局者は、米国とイスラエルによる攻撃が続く中、ホルムズ海峡の再開については議論さえ避ける姿勢を強めている。イランとの高官レベルの直接接触に関与する関係者が明らかにした。

エネルギー施設に対する攻撃や、イラン最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長の殺害などが事態をエスカレートさせており、同海峡の再開に向けた動きは鈍いという。非公開の協議であることを理由に、関係者は匿名で語った。

この報道を受け、原油価格は上げ幅を拡大。北海ブレント原油先物は1バレル=110ドルを再び上回った。

その後、米国防総省当局者がイランへの地上部隊派遣の可能性に向けた準備を進めているとのCBSニュースの報道を受け、原油相場はさらに上昇した。CBSは匿名の関係者の話として、トランプ大統領がどのような状況でこうした作戦を承認するかは不透明だと伝えた。

ホルムズ海峡の事実上の閉鎖は世界のエネルギー価格を急騰させ、トランプ政権はガソリン価格の抑制に追われている。

イランがホルムズ海峡を巡る交渉を拒み、トランプ氏も外交的な打開に向けた交渉に応じる意思がない、あるいは応じられない状況にある中、事態がさらにエスカレートする恐れがある。

トランプ氏は20日、「イラン側ではもはや誰も指導的な立場に立とうとしていない。われわれは対応に苦慮している。対話したいが、話し相手がいない」と発言。「そして、それでも構わない」と述べた。

西側情報当局の分析や事情に詳しい関係者の話を基にすると、イラン政権は崩壊が差し迫った状況にはなく、当局者は生き残った指導部のもとに結集している。

出口戦略はあるのか

戦闘行為の収束が見通せない中、英国やフランスなどが戦争終結後に海峡で船舶の護衛を進める構想は、実質的に勢いを失っていることを意味する。

関係者によると、こうした見方は欧州や中東全体で共有されている。当局者の間では、米国とイスラエルに明確な出口戦略があるとの見方への信頼が揺らぎ、より深刻な経済的混乱が広がるとの懸念が強まっている。

19日にブリュッセルで開催された欧州連合(EU)首脳会議では、エネルギー価格高止まりで悪化する経済情勢への不安が示された。

イラン外務省の報道官と在英イラン大使館にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。

戦争開始当初、イランは地域の仲介国に対し、自国へのさらなる攻撃が行われないとの保証があれば、停戦協議に応じる用意があると伝えていた。

だが、その可能性は足元では遠のいているとみられる。

強まる景気悪化への懸念

戦争は4週目に入り、域内では4200人超が死亡した。世界の原油や液化天然ガス(LNG)の約2割が通過するホルムズ海峡では、商船の航行が事実上停滞している。

イランによるカタールへの直近のミサイル攻撃は、世界最大のLNG輸出施設に深刻な被害を与えた。施設の修理完了には最大5年を要するという。

19日に欧州のガス価格が急騰し、3年ぶりの高値を付けた。欧州中央銀行(ECB)は、供給混乱が長期化する場合、ユーロ圏のインフレ率は来年1-3月(第1四半期)に6.3%に達し、短期的な景気後退(リセッション)に陥るとの見方を示した。

ある政府高官は、エネルギーインフラがもはや安全ではないことが明らかになったと指摘。インフラが破壊されれば、たとえホルムズ海峡が再開されても、修復が進むまで十分な効果は見込めないとの懸念も広がっている。

原題:Iran Unwilling to Talk About Opening Hormuz While Under Attack(抜粋)

--取材協力:Golnar Motevalli.

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