原油相場はアジア時間20日の取引で下落。ペルシャ湾岸の主要なエネルギー施設への攻撃被害を受け、2022年7月以来の高値を付けていたが、投資家の動揺を抑えようとする米・イスラエル首脳の発言で上げ幅を縮小した。

北海ブレント原油は1バレル=105ドル付近に下落し、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は93ドル付近で推移している。トランプ米大統領は、米地上軍派遣の可能性について記者団に問われ、「どこにも軍を派遣するつもりはない」と発言。イスラエルのネタニヤフ首相は、イランのエネルギー施設へのさらなる攻撃は控えると表明した。

約3週間前に始まった戦争で、攻撃の応酬がエスカレートしている。18日と19日に起きたカタールのラスラファン工業地区への攻撃は、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出施設に深刻な被害を与えた。カタールエナジーによると、同施設の修理完了には最大5年を要するという。

ホルムズ海峡のほぼ完全な封鎖が同地域からの出荷を妨げており、ブレント原油は今月に入り50%近く上昇。米国の指標であるWTIの上昇率を上回っている。

サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏(シンガポール在勤)は、「引き続き非対称な価格バイアスが続いており、湾岸のインフラやホルムズ海峡のリスクが存続する限り、ブレント原油は高止まりする可能性がある」と指摘。「WTIはより値動きが荒くなり、上値も限定的になる可能性がある。急騰すれば米国の政策対応や石油市場への直接介入を招くからだ」と述べた。

ブレント5月限は日本時間午前10時57分現在、2.9%安の1バレル=105.49ドル。WTI5月限は2.7%安の92.94ドルとなっている。

トランプ氏は19日に高市早苗首相とホワイトハウスで会談した際、「もっと悪くなる可能性もあったと思っていた。それほど悪くはない。もうすぐ終わるだろう」と語り、最近の原油高騰を深刻に受け止めていないような態度を見せた。

戦略備蓄の放出を含む米国の取り組みにより、ブレントに対するWTIのディスカウントは約13ドルに拡大している。週間ベースでブレントが約2%上昇する方向であるのに対し、WTIはこのままいけば6%安となる異例の事態が生じている。

ネタニヤフ氏は19日に記者団に対し、イランのサウスパース・ガス田への攻撃について、「イスラエルは単独で行動した」と説明。今後はイランのエネルギー施設を標的としない方針を示した。戦争終結の時期については明言を避けたが、「人々が考えているよりもずっと早く終わる可能性がある」と語った。

一方、ベセント米財務長官は、イラン政権はおそらく内部崩壊するだろうとの見解を示した。また、湾岸での戦争によって引き起こされたエネルギー価格急騰を抑えるため、米国はイラン産原油への制裁解除を検討しており、国家備蓄を単独で放出することも検討する可能性があると述べた。

バンス副大統領と石油業界幹部との会談後にトランプ政権当局者が19日に明らかにしたところによると、ホワイトハウスは石油・ガスの輸出禁止を計画していない。業界側は、そのような措置は生産者を苦しめるだけだと警告していた。

原題:Oil Declines as US, Israel Seek to Ease Concerns Over Iran War(抜粋)

--取材協力:Charles Gorrivan.

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