サウジアラビアの石油輸出は、既に平時の半分以上にまで回復した。イラン戦争で海上輸送の大動脈であるホルムズ海峡の事実上の封鎖が続いているものの、同海峡を回避するサウジの野心的な緊急計画が実を結び始めている。

海峡を迂回するため、サウジは紅海沿岸のヤンブーに向かう全長1200キロメートルのパイプラインで石油を輸送。ヤンブーで石油を積み込むためにタンカーを急きょかき集め、今や多数のタンカーが同港周辺に密集している。

ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、過去5日間にヤンブーから1日当たり平均約419万バレルの石油が出荷された。戦争開始前のサウジの石油輸出量は合計で約700万バレルだったため、既に6割近くを回復した計算になる。

戦争前のヤンブーからの輸出は日量140万バレル程度に過ぎなかった。

平時には世界の石油の約5分の1が通過するホルムズ海峡の閉鎖で海上輸送は滞り、ペルシャ湾岸の産油国は貯蔵施設が満杯になりつつあり、生産削減も余儀なくされている。国際エネルギー機関(IEA)は、この戦争が石油市場に「史上最大の供給混乱」を引き起こしていると警告した。

ただ、有意な代替ルートを持つ国は湾岸産油国の中でサウジしかない。アラブ首長国連邦(UAE)はオマーン湾に抜けるパイプラインを持つが、このルートの輸出拠点であるフジャイラ港は数度にわたり無人機(ドローン)の攻撃を受けて積み込み停止を余儀なくされるなど、情勢不安の影響を受けやすい。

サウジが石油の輸送ルート変更を急ぐ中で、紅海沿岸沖にはタンカーが大挙して待機している。ヤンブー近海には少なくとも32隻の超大型タンカーとスエズマックス級の油槽船が積み込みを待っている状態で、さらに紅海へと向かっている船舶も見受けられる。

原題:Saudi Arabia Has Revived Half Its Oil Exports Via Hormuz Bypass(抜粋)

--取材協力:Julian Lee、Anthony Di Paola.

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