(ブルームバーグ):イラン情勢の影響で国内のガソリン平均価格が急上昇した。石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖された状態が続いており、今後さらに価格が高騰する恐れがある。
経済産業省の発表によると、9日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売販売価格は前週比3.3円高の161.8円と、4週連続の上昇となった。ガソリン同様、原油から精製して作られる軽油や灯油の価格も上昇した。
イラン情勢の緊迫化により、原油価格は今週、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来初めて節目の100ドルを突破。国際エネルギー機関(IEA)加盟国による協調放出に対する期待などから原油価格は11日の取引では90ドルを下回る水準にあるが、ホルムズ海峡の封鎖が続けば再び上昇するのは避けられない。
国内のガソリン価格は政府による補助金拡大や暫定税率廃止の影響で下落し、1月には154.7円と21年6月以来の安値を付けていた。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは9日のコラムで、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物価格が1バレル=100ドルで推移する場合、国内ガソリン価格は政府の対策が講じられなければ1カ月程度で235円まで上昇すると試算した。
一方、原油の輸入や精製を手がける企業が加盟する石油連盟が11日に発表した3月1日-7日の全国の製油所稼働率は80.9%だった。前の週(2月22日-2月28日)から5.3ポイント減で、稼働率の低下は2週連続となる。背景について石油連盟の広報担当者は「個別の問い合わせには対応できない」とした。
冬場の灯油需要が収まる時期でもあり、一概に米イランの紛争による影響と言えなそうだ。ただ今後顕在化する事態に備え、石油元売り大手は対応策の検討を進めている。出光興産の広報担当者はブルームバーグの取材に、「現時点で稼働率を落としている事実はないが、今後の状況も含めてあらゆる対応を検討している」と述べた。エネオスホールディングスは稼働状況について回答を控えた。
石油市場の動向に詳しい日本エネルギー経済研究所の久谷一朗研究理事は、現時点で稼働率の低下と中東情勢が結びついているとは考えづらいと述べた。ホルムズ海峡が事実上閉鎖される前に通過したタンカーが到着していないためだ。中東からの輸送にかかる目安は20日とされ、現状が続けば3月下旬には原油輸入に影響が出るが、その場合でも政府による備蓄放出で稼働率が保たれる可能性があるとした。
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