米国とイスラエルがイランとの間で開始した戦争は4日目に入った。トランプ大統領は3日、イランで新たな指導部に代わっても、これまでと同様に米国にとって問題をもたらす可能性があるとの見解を示した。

この発言は、トランプ政権がどのような出口を目指しているのかを巡る懸念を強める可能性がある。さらに、イランがサウジアラビアに対して報復措置を取ったことで、地域全体で一段と緊張が激化するとの警戒感が高まっている。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し「最悪のシナリオは、われわれが行動を起こした結果、前の人物と同じくらい問題のある人物が権力を握ることだろう。そうなる可能性はある」と発言。「5年後に振り返ったとき、自分たちが据えた人物が以前と何ら変わらなかったと分かるかもしれない」と続けた。

ホワイトハウスでメルツ独首相と会談を行ったトランプ氏は、イランではより穏健な指導者の登場を望んでいると改めて表明。ただ、有力候補とみていた人物は攻撃の中で死亡し、第2の候補グループについても「報道によれば死亡したとみられる」と述べた。

そのうえで「近く第3の指導者候補が浮上してくるだろう」と語った。

3日早朝のSNS投稿でトランプ氏は、「戦争は『永遠に』戦うこともできる」と記し、米国がイランの取得を阻止したい核兵器や長距離ミサイルについて、米国は無制限に保有していると主張した。これに先立ち、イランの「防空、空軍、海軍、指導部は消えた」とも述べていた。

トランプ氏は軍事作戦がどの程度続くのかについては明確にしていないものの、原油や天然ガス価格はいずれ安定した水準に戻るとの見方を示している。この日は記者団に対し、「しばらくの間、原油価格がやや高くなることはあり得る。だが、これが終われば、価格はこれまで以上に下がると私は考えている」と語った。

トランプ氏は3日午後、タンカーなど船舶の安全な航行を確保するため、ホルムズ海峡において米国が保険と海軍による護衛を提供すると明らかにした。同海峡はタンカーにとって重要な航路だが、事実上の封鎖状態が続いている。

同氏は米国際開発金融公社(DFC)が「非常に妥当な価格」で保険を提供し、湾岸地域でのエネルギーや商取引の流れを確保すると説明した。

この発表を受け、原油価格は上げ幅を急速に縮小。北海ブレントは清算値後に1バレル=80ドル近辺で推移した。

イランはカタールやバーレーン、オマーンなど米軍基地を抱える国々にミサイルを発射。カタール当局は標的が軍事施設に限られていないとした。カタールとイラクは主要エネルギー施設で生産を停止し、供給や価格への懸念が高まっている。

イラクでは、英BPが操業するルマイラ油田で生産停止が始まった。ホルムズ海峡の事実上の封鎖でタンカーが出航できず、貯蔵スペースが逼迫している。一方、サウジアラビアは紅海経由での供給拡大を検討している。

軍事衝突激化

イスラエルはイランの首都テヘランに対する攻撃を続け、大統領府や最高安全保障委員会(SNSC)など同国指導部の施設も空爆したと発表。イスラエルの公共放送Kanが同国高官の情報として報じたところによると、死亡したハメネイ師の後継選出を担う専門家会議の会合中だった建物も爆撃した。

イランの政府系メヘル通信は、攻撃を受けた専門家会議の施設は使用中ではなかったと、イスラエルの報道を否定している。

2日深夜から3日未明にかけては、サウジアラビアの首都リヤドの米国大使館付近を無人機(ドローン)2機が攻撃し、小規模な被害が生じた。イラン革命防衛隊司令官の顧問は国営テレビに対し、海上交通の要衝である「ホルムズ海峡を通過しようとするいかなる船舶にも火を放つ」と述べた。

イラン産原油の大半を購入している中国は、事実上封鎖されたホルムズ海峡の安全な航行を確保するよう「全ての当事者」に求めた。事情に詳しい関係者によれば、アラブ首長国連邦(UAE)とカタールは、イランに対する米国の軍事作戦を短期間にとどめるよう、トランプ氏を説得する働きかけを水面下で同盟国に行っている。

2日にイランの攻撃によって主要な液化天然ガス(LNG)プラントが操業停止に追い込まれたカタールは、一部の化学製品およびアルミニウムの生産を停止した。UAEでは迎撃した無人機の残骸が世界最大級の陸上石油貯蔵施設がある地域に落下し、大規模な火災が発生した。

イランの赤新月社は、同国ではこれまでに米・イスラエルの攻撃により合計787人が死亡したと報告。一方、米国側はこれまでに6人が死亡したと発表している。またイスラエルでは十数人が死亡したとみられている。

イスラエルは、親イラン武装勢力のヒズボラが拠点とするレバノン南部に派兵し、ベイルートでも空爆を実施。レバノン保健省は攻勢で50人超が死亡したと発表した。

米軍は3日、Xへの投稿で「イスラム革命防衛隊の指揮統制施設、イランの防空能力、ミサイルおよび無人機発射拠点、軍用飛行場を破壊した」と明らかにした。イランはナタンズの核施設が攻撃を受けたことを認めた。

米国務省は2日、「重大な安全上のリスク」があるとして米国民に中東からの退避を促した。イスラエルやサウジアラビア、カタール、UAEを含む十数カ国に滞在する米市民に対し、「利用可能な商業便」で出国するよう勧告した。

同省のジョンソン広報担当次官補は3日遅くにXへの投稿で、退避を希望する米国民向けに軍用機やチャーター便の手配を進めていると明らかにし、海外在住の約3000人の米国民と直接連絡を取っていると説明した。

湾岸地域では、週末にドバイの主要空港が攻撃を受け、民間航空便がほぼ全て停止しており、出国は困難が予想される。エミレーツ航空とエティハド航空は混雑緩和のため限定的に運航を再開する計画だ。

原題:Trump Worries Iranian Leaders Could Be Just ‘as Bad’ After War(抜粋)

(ホルムズ海峡の安全確保策などを追加して更新します)

--取材協力:John Bowker、Michael Cohen、Devika Krishna Kumar、Jeff Mason、Kateryna Kadabashy、Alisa Odenheimer、Neil Munshi.

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