(ブルームバーグ):2日の日本市場は株式が急反落。米国とイスラエルがイランに軍事攻撃し、最高指導者ハメネイ師を殺害したことで中東情勢の不安定化や原油など資源調達への不安が台頭した。投資家のリスク回避姿勢が強まり、円は対ドルで一時157円台に下落。債券は上昇(金利は低下)した。
米国とイスラエルは2月28日、イラン全土の複数の標的を攻撃し、トランプ大統領はイラン政権による差し迫った脅威を排除し、米国民を守ることだと軍事行動の目的を説明した。空爆で最高指導者ハメネイ師は死亡したが、イランの報復は周辺国にも波及し、米兵にも死傷者が出るなど戦火拡大への懸念がある。
インドスエズ・ウェルス・マネジメントのアジア担当チーフストラテジスト、フランシス・タン氏は現在の湾岸情勢が数カ月続けば、原油価格は1バレル=100ドルを超す可能性があり、これにより米国の利下げ期待が後退すると指摘。グロース(成長)株やテクノロジー株にとって足かせとの見方を示した。
米シティグループは米国のイランへの攻撃を受け、日本株の投資判断を「オーバーウエート」から「アンダーウエート」に下げた。ストラテジストのベアタ・マンシー氏は、日本株には高市政権の経済政策などプラス要因はあるが、原油高の局面では相対的にアンダーパフォームしやすいと指摘した。
株式
東京株式相場は急反落。中東情勢の悪化と原油価格の急騰を受け、景気への悪影響や資源輸入コストの上昇に警戒感が広がった。北海ブレント先物は一時14%高の1バレル=82.37ドルと2025年1月以来の高値を付け、ロシアのウクライナ侵攻以来、4年ぶりの大幅高を記録。ただ、日経平均は朝方に一時1500円安となった状況に比べると、やや下げ渋った。
原油高や地政学リスクの影響を受けやすい空運株、英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)が破綻し、プライベートクレジット市場の健全性に対する懸念から銀行や保険、証券など金融株が大幅安。半面、原油など国際商品市況の高騰で鉱業や石油、非鉄金属株は上昇し、相場全体を下支えした。三菱重工業など防衛関連株も堅調。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、金融株の下げについて「先週末の英MFSの経営破綻などを受け、国内の銀行株でも警戒感が広がっていることがきょうの下げの理由」と解説。ただし、原油価格が90ドルまで上昇する場合、インフレで利上げを迫られる可能性もあり、利上げ観測の後退できょうの銀行株の下落は説明しづらいとも述べた。

為替
外国為替市場の円相場は対ドルで一時157円台に下落。中東情勢の悪化を受けた「質への逃避」でドル買いが優勢となった。原油輸送ルートの要衝であるホルムズ海峡の実質封鎖で、原油高を通じたインフレ上振れに対する懸念が円の重しとなった。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、中東情勢悪化によるホルムズ海峡閉鎖で「原油高懸念が意識されて円が売られた。朝方に付けたドル・円の高値を超え、いったんのストップロスのドル買いも入っている」と言う。指摘。株価の下落は想定内で、為替市場もパニック的な動きにはなっていないが、「情勢について不透明感が強く、油断できない状況だ」と述べた。
セントラル短資FX市場業務部の富永貴之部長は、イラン情勢の緊迫化を受けドルが選好されやすいと指摘。リスク回避の円買いという言葉は最近なくなってきており、「むしろ決済通貨としての有事のドル買い、そこから金などの安全資産に移行する可能性もある」と言う。

債券
債券相場は上昇。米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けたリスク回避の動きで安全資産の債券に投資資金が流入した。市場関係者の注目度が高かった日本銀行の氷見野良三副総裁の講演と会見の内容については、金融市場への影響は限られた。
氷見野副総裁は2日、和歌山市内で講演し、利上げによる影響はこれまでのところ限定的で金融環境は依然緩和的な領域にあると発言。講演は、前週末以降の中東情勢を前提にしていないとし、状況を注視していきたいとも語った。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、今週の10年債、30年債の入札を前に持ち高を軽くした投資家が中東情勢悪化を受け買いを入れたと指摘。もっとも、「中東情勢の情報について日本は受け身で、きょうの東京市場の動きだけでは反応は見極めにくく、海外市場の動向を見てみないと分からない」と言う。
氷見野副総裁の講演について、野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは「切迫したメッセージがなかったため、3月利上げはまずないが4月については煙に巻いており、中立的」と分析。金利が緩やかに上昇するとの見通しに変わりはないと話していた。
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この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:深瀬敦子、日向貴彦、堤健太郎、佐野日出之、日高正裕、Sangmi Cha.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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