米国とイスラエルは28日、イラン全土を標的とした攻撃を始めた。イラン南岸には世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡があり、対立激化に伴い船舶の航行が困難になる恐れがあり、封鎖された場合には、日本にも甚大な影響が出る可能性がある。

トランプ米大統領は同日、米国がイランで「大規模な」戦闘作戦を開始したとSNSへの投稿動画で発表した。

日本政府や企業も対応を進める。政府は同日午後4時にイラン情勢などに関する情報連絡室を設置したと発表した。関係府省庁が連携して対応する。共同通信によれば、イラン攻撃で在留邦人の被害情報はないという。小泉進次郎防衛相は、防衛省・自衛隊に対して、中東地域の情報収集や、日本周辺の警戒監視活動などを指示したと明らかにした。

金沢市を訪問していた高市早苗は同日夕、イラン在住の邦人関係者に早期の国外退避を促す対応を続けてきたとした上で、「危機管理に万全の体制を取る」と改めて発言。東京に戻り関係閣僚と会議をすることを明らかにした。NHKは、政府が、高市首相や小泉防衛相、茂木敏充外相らが出席し、国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合を開く方向で調整していると報じた。

丸紅の広報担当者は、イランの駐在員はすでに国外に待避済みとし、今後も情勢を注視し安全を第一に対応するとした。三井物産もイラン、イスラエルの拠点には駐在員はいないという。イランへは渡航見合わせ、中東地域への出張は慎重に検討するよう指示している。

 

日本航空(JAL)は中東情勢の現状をかんがみて、28日と3月1日の羽田-ドーハ便の欠航を決めた。2日以降は今後の状況をみて検討する。アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空もドバイ発の全便の運行を見合わせている。商船三井は、現時点で周辺の同社に関係する船に注意喚起している。安全運行支援センターで24時間体制で監視。船員、貨物、船舶の安全を最優先して対応する。

9割を中東に依存

イランの核開発を巡る交渉が難航する中、トランプ大統領は中東に大規模な戦力を配備して軍事攻撃をちらつかせるなど圧力を強めてきた。27日には米国政府は在エルサレム大使館の緊急時対応以外の職員に対し、イスラエルからの退避を許可した。エネルギー供給や金融市場への影響が懸念される。

イラン南岸には世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡があり、対立激化に伴い船舶の航行が困難になる恐れがある。米国エネルギー情報局(EIA)によると、2024年には世界全体の消費量の約20%に相当する日量平均2000万バレルの原油がホルムズ海峡を通過した。原油輸入の約9割を中東に依存する日本の場合、23年輸入量の約74%がホルムズ海峡経由だったとされ、封鎖された場合の影響はさらに大きい。

 

地政学的リスクの高まりを受けて原油相場は上昇している。国際指標の北海ブレント原油先物は約6カ月ぶりの高値水準で取引されている。円安も相まって、原油の輸入コストが上昇し、インフレが加速する可能性がある。

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--取材協力:山中英典、横山恵利香、下土井京子.

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