トランプ大統領が課した上乗せ関税などが最高裁で違法と判断されたことを受け、米民主党の有力議員らは、国民への返金を声高に要求し始めた。11月の中間選挙を控え、新たなポピュリスト運動が始まった形だ。

「オハイオ州の各世帯に1336ドル(約21万円)の返金を求める」とシェロッド・ブラウン元上院議員(民主)は23日、ソーシャルメディアに投稿した。2024年に再選を果たせず、返り咲きを目指す同氏は関税がインフレを招いたとして、対抗馬だった共和党のハステッド議員を、「ことあるたびに関税に賛同してきた」と批判。「オハイオ州の住民は急騰する物価に苦しんでおり、返金されてしかるべきだ」と述べた。

トランプ大統領は新たに15%の世界関税を導入し、違法と判断された関税の返金は何年も遅れる可能性があると述べている。

マサチューセッツ州選出のウォーレン上院議員(民主)も「ドナルド・トランプは違法な関税であなた方のお金を奪った。そして住宅から食料品に至る全ての物価が高くなった」と投稿。「トランプ氏からお金を返してもらうべき時が来た」と主張した。

2028年に大統領選に出馬するとの観測が持たれているカリフォルニア州のニューサム知事(民主)は「違法なやり方で取られたお金は、直ちに利子を付けて全額返還されなくてはならない」と投稿。「さっさと支払いに応じよ」と続けた。

イリノイ州のプリツカー知事も、1世帯当たり1700ドル、総額86億ドルの請求書をトランプ大統領に送った。

関税収入を部分的にでも一般世帯に分配するのは、そもそもトランプ氏自身のアイデアでもあった。低・中所得世帯に1人2000ドルの「配当」小切手を送ることを提案したが、共和党指導部の反応は冷淡だった。

利子付けて全額返還を

一方で上院民主党は23日、最高裁が無効とした関税で徴収された推計1750億ドルを、利子を付けて全額返還することを義務付ける法案を発表した。

この法案は還付を受けた企業に顧客への還元を求めているが、義務ではない。

民主党が議会の主導権奪還を目指す上で鍵を握るオハイオ州では、連邦議会上院選に数億ドル規模の選挙資金が費やされる見通しだ。関税はオハイオだけでなく、メーンやアラスカ、アイオワなど他の激戦州でも主要な争点となる可能性が高い。

オハイオ州選出のハステッド上院議員は、最高裁の判断を受けて「米国では意見が異なっても法の支配を尊重する」と投稿した。

輸入業者はすでに、支払い済みの数十億ドルを取り戻すため、法廷で争う準備を進めているが、議会が行動を起こす可能性は低いとみられている。

下院歳入委員会のスミス委員長(共和)は23日、ブルームバーグテレビジョンで「返金に向けた道筋は議会で見えない」と語った。

トランプ氏が昨年提示した「配当」案は、責任ある連邦財政を掲げる監視団体の懸念を招いた。年間財政赤字がすでに2兆ドルに近づいている現状で、トランプ氏の案は年間数千億ドルものコストがかかる可能性があると、同団体は警告した。

原題:Democrats Wage Populist Fight to Refund Tariffs to US Households(抜粋)

--取材協力:Caitlin Reilly.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.