(ブルームバーグ):米人工知能(AI)スタートアップのアンソロピックは、中国のAI開発をリードする3社が「蒸留」と呼ばれる不正な手法でアンソロピックのAIモデルから出力を転用し、自社製品の能力を高度化したと述べた。中国企業による不正疑惑に神経を尖(とが)らせる米国に、新たな懸念材料が加わった形だ。
サンフランシスコに本社を置くアンソロピックは、中国のDeepSeek(ディープシーク)とミニマックス・グループ、ムーンショットが数千もの不正アカウントを通じ、アンソロピックの「クロード」モデルとのやりとりを合計1600万回以上行ったとして、利用規約への違反を主張している。中国のAI研究機関はこうした蒸留によって、より強力なシステムの出力を自社モデルに学習させることで、急速な改良が可能になっているとアンソロピックは説明した。
アンソロピックの競合であるOpenAIも今月、DeepSeekがチャットボット「R1」の次世代版を訓練するため、OpenAIなど米国の有力AIモデルから成果を抽出する不正かつ巧妙な手法を用いていると米議員らに警告した。ホワイトハウスのAI責任者であるデービッド・サックス氏を含む米政府当局者も、DeepSeekがこの手法を用いたことに懸念を示している。
アンソロピックは23日のブログ投稿で「こうした活動は頻度と精度を高めている」と指摘。「対応するための時間的余裕はあまりない。脅威は単一企業や地域にとどまらない」と警告した。
DeepSeekとミニマックス、ムーンショットの担当者に通常の営業時間外にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。
DeepSeekは1年前、主要な米国モデルに比べて極めて低いコストで構築したと主張するAIモデルのR1を発表し、その競争力の高さは業界の勢力図を一変させた。それ以降、中国は低価格のテキスト、動画、画像モデルを相次いで市場に投入している。米企業が開発したAIソフトウエアの採用を阻害し、技術の収益化を難しくするとの懸念が出ている。
ミニマックスは1月に新規株式公開(IPO)を実施した。ムーンショットは新たな資金調達ラウンドで100億ドルの評価額を目指している。
原題:Anthropic Says DeepSeek, MiniMax Distilled AI Models for Gains(抜粋)
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