米民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員は、7年間の議員活動を通じて外交政策よりも、強い進歩主義的スタンスで知られてきた。だが週末にドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議での登壇は、姿勢の変化をうかがわせるとともに、2028年米大統領選出馬を巡る臆測を一段と強めた。

世界の指導者が多数集う年次会議の主催者から招待を受けたオカシオコルテス氏は、二つのパネル討論会に参加し、権威主義の危険性や台湾、グリーンランド、ガザを巡る自身の見解を示した。同氏にとって登壇はオーディションであると同時に学びの場ともなった。また、バイデン前大統領退任後の民主党の外交ビジョンの一端を聴衆に示した。

オカシオコルテス氏は、記録的な不平等に対抗するとともに、「一握りのエリートや、一握りの寡頭勢力が見せかけの民主主義に座し互いに裏取引を行う世界」に終止符を打つ外交政策を求めた。一つのパネル討論会では、イスラエルに対する無条件の米支援が「ジェノサイド(集団虐殺)を可能にしてきた」とも述べた。

Photographer: Alex Kraus/Bloomberg

「われわれは岐路に立っている。指導者らは、代替的なビジョンを提示する必要性をますます認識していると思う」と同氏は語った。

同氏のほかにも、ミシガン州のウィットマー知事やカリフォルニア州のニューサム知事ら将来的な政治的野心を持つ民主党の有力者が出席した。ニューサム氏はトランプ大統領の後の米国には将来があると述べて欧州側を安心させようとし、「彼の任期は数年単位であって、数十年単位ではない」と述べた。

それでも、最も注目を集めたのはオカシオコルテス氏だった。ミュンヘン安全保障会議への出席は今回が初めてで、下院外交委員会や軍事委員会の委員でもない。これまで手掛けた外交分野の活動は主に中南米問題や、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルの戦争への反対だった。

「中国が台湾を攻撃した場合、米国は台湾を防衛するか」というブルームバーグのフランシーヌ・ラクア氏からの質問に対するオカシオコルテス氏の受け答えを巡っては、共和党系コメンテーターから「失態」と評され、プライムタイムの舞台に立つ準備ができていないと指摘された。

通常は即答する同氏だが、このときは言葉に詰まり「これは、えーと、つまり、非常に長年の、えー、米国の政策だ」と話した。その後、同氏は立て直し、米国が「そのような対立を回避し、そもそもその疑問が生じる事態を回避すべきだ」と明確な回答を行った。

オカシオコルテス氏がためらったのは「発言内容に慎重になりたかったからだ」と、同氏の外交政策顧問を務めるマット・ダス氏はインタビューで説明した。会議への出席は「ミュンヘンや他の安全保障会議ではめったに聞かれない視点、すなわち労働者階級を支え、不平等に対処する政策の必要性を持ち込む機会だった」と語った。

昨年、極右政治家と会談したバンス米副大統領とは対照的に、オカシオコルテス氏はクリングバイル独副首相やシュナイダー環境相といった中道左派の社会民主党関係者らと交流した。

オカシオコルテス氏はまた、大統領選に出馬した場合に富裕税を導入するかとの質問をかわし、自身の将来の計画を巡る臆測には関わらなかった。ダス氏も同様に応じなかった。

「元に戻ろうと言う指導者を多く見てきたが、今は新しい時代にいることを認識すべきだ」とオカシオコルテス氏は主張。「われわれの多くがここにいるのは『世界を孤立に向かわせるのではなく、価値観へのより大きく、より強いコミットメントを通じてパートナーシップを深化させるべく、次の章に進む準備ができている』と言うためだ」と述べた。

この発言に聴衆からは長い拍手が送られた。

原題:Ocasio-Cortez Tests Foreign-Policy Waters at Munich Conference(抜粋)

--取材協力:Michael Nienaber、Francine Lacqua.

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