(ブルームバーグ):12日の日本市場は超長期金利が急低下。過度な財政悪化懸念が和らいだ上、円安一服からインフレ懸念も後退して残存期間の長い債券が買われた。株式は東証株価指数(TOPIX)が連日で史上最高値を更新した。
高市早苗首相の会見を受けて金利が連日で低下した。この日は特に超長期の40、30年債利回りが一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上、下がった。三村淳財務官の発言を受けて円が対ドルで一時買われて債券の追い風になった。株式は日経平均株価も初めて5万8000円台に乗せたが、利益確定売りも目立った。円は対ドルで153円半ばとニューヨーク市場終値付近。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは「消費減税に対する高市首相の姿勢の変化を市場は敏感に感じ取っており、財政拡大をテーマにした金利上昇相場はいったん終わった」と指摘した。
衆院選での消費税減公約に絡んだ財政拡張懸念から1月に急騰した超長期金利は、昨年末の水準まで下がっている。財政懸念がいったん収まった格好で、金融市場は高市政権の「責任ある積極財政」の具体策を見極めていくことになる。
債券
債券相場は超長期債が上昇。財政懸念後退に加えて、日本銀行が幅広い年限で国債買い入れを実施したことも需給が改善するとの見方から買いにつながった。
新発40年国債利回りは10.5bp低い3.62%、新発30年債利回りは一時10bp低い3.395%に低下した。利回りは祝日前の10日も低下しており、昨年末以来の水準に低下している。
アクサ・インベストメントの木村氏は「選挙期間中に高市氏のトーンが変わり減税に対して言及しなかった。米国から日本の金利安定化について強い要請が入ったとの報道もあり、市場でも超長期買いのタイミングを探る動きへと雰囲気が変わってきていた」と述べた。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、過度な財政悪化懸念後退から超長期債には買い安心感が出ているとし、利回り曲線はフラット(平たん)化していると指摘した。
日銀は12日、定例の国債買い入れオペの実施を通知した。対象年限は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下、25年超で、買い入れ額はそれぞれ2700億円、2450億円、2600億円、950億円、750億円とした。
2年や5年債は利上げに積極的なタカ派的とされる日銀の田村直樹審議委員の講演を13日に控えて午後に入って売りも出た。
新発国債利回り(午後3時時点)
株式
東京株式相場はTOPIXが連続で史上最高値を更新した。好業績への期待から買い注文が先行した。指数採用銘柄の66%が上昇している。日経平均株価も一時前営業日比で0.6%高の5万8015円08銭に上昇、初の5万8000円台に乗せたが終値では小幅安になった。
東洋証券の大塚竜太ストラテジストは高市政権下での経済の安定や成長への期待を背景に「海外投資家の買いが引き続き相場を押し上げている」と話した。
11日に米労働省が発表した1月の米雇用統計は非農業部門の就業者数が前月比13万人増と市場予想を大幅に上回り、米労働市場の底堅さを示したのも、投資家心理の支えとなった。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、テクニカル指標面から見た短期的な過熱感があるが、「業績モメンタムの強さやコーポレートガバナンス(企業統治)改革への期待も日本株が買われる理由になっている」と話した。
為替
東京外国為替市場で円相場は対ドルで153円半ば。三村財務官は12日、為替を巡る対応について「一切ガードは下げていない」と述べ、足元でドル・円相場が円高に振れていても臨戦態勢を続ける考えを示した。省内で記者団の取材に応じた。円は一時152円27銭まで上昇した。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、ドル・円は仲値に向けてややドルが売られたとし、全般的にドル・円の上はやりにくい感じになっていると指摘。「高市トレード期待で仕込んでいたドルロング・円ショートのポジションを利食い売りや損切りの売りが出ているようだ」と述べた。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストはリポートで、雇用統計発表後は米利下げ期待の再低下とともにドルが買い戻されたが、ドル・円は急騰後に調整し「上値の重さが目立った」と指摘。
東京市場では「国内勢による押し目買いが予想され、ドル・円の下値は堅くなりそうだが、153円台を中心とした膠着(こうちゃく)となりそうだ」としている。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:我妻綾.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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