(ブルームバーグ):政治生命の危機に瀕しているスターマー英首相に、閣僚らが相次いで支持を表明した。スコットランド労働党リーダーのアマ・サワール氏からは辞任を要求された首相だが、求心力回復へ一定の時間を得た格好になる。
サワール氏の辞任要求後、閣僚らは1人ずつスターマー氏への支持を口にした。この中には、首相の地位を脅かす可能性が最も高いとみられているストリーティング保健・社会福祉相やレイナー前副首相もいた。
ストリーティング氏は9日、スカイのポッドキャストで「スターマー氏にチャンスを」与えるべきだと呼び掛けた。レイナー氏はスターマー氏を「全面的に支持」するとX(旧ツイッター)に投稿し、「最悪の対応は、派閥争いに走ることだ」と続けた。
ラミー副首相、リーブス財務相、ヒーリー国防相、マフムード内相も、Xでそれぞれ首相支持を明らかにした。
これら閣僚が支持を打ち出す前、スターマー政権は危機的な様相を呈していた。労働党の非主流派議員数人は、2024年終盤にピーター・マンデルソン元上院(貴族院)議員を駐米大使に起用した責任を首相にとるよう求め、これにサワール氏も同調した。マンデルソン氏がエプスタイン氏との関係を08年に未成年者を含む性的人身売買で有罪となった後も維持していたことを首相は知りながら、起用に踏み切っていた。
サワール氏は9日、テレビ中継された記者会見で「混乱に終止符を打つ必要があり、政府のリーダーが変わらなければならない」と発言。「政府中枢の失敗で、スコットランドが失敗続きとなる事態を許してはならない」と述べ、5月のスコットランド議会選で労働党は勝利する必要があると訴えた。
これに先立ちウェルズ首相報道官は、スターマー首相に辞任の計画はないと述べていた。首相は9日のうちに、労働党議員に向けて演説を行う。
閣僚らの支持で「スターマーおろし」はいったん後退する可能性がある。だが、1年半前の総選挙で労働党を大勝に導いた首相側近のモーガン・マクスウィーニー首席補佐官に続き、首相府の情報発信担当ディレクターを務めていたティム・アラン氏も辞任し、危機は去っていない。
指導力がますます低下しているように見える首相だが、9日午前には自身の政策を推進すると表明。首相府スタッフに対し、近年の労働党再生に貢献したマクスウィーニー氏を褒めたたえ、首相として闘う意向を示唆した。
スターマー氏は発表文で、「政治が善の力になり得ることを、私たちは証明しなければならない。自分はそれが可能であり、実際にそうだと信じている」と主張。「私たちはここから前進する。英国の変革を続け、自信を持って進んでいく」と述べた。
それでも歴史的な低支持率にあえぐスターマー氏にとって、サワール氏の離反は痛手だ。5月の地方選挙でスコットランド労働党は苦戦が予想されるだけに、サワール氏はますますスターマー氏への批判を強めている。
一方、金融市場では、閣僚らのスターマー氏支持表明で英国資産がやや持ち直した。英国債は下げ幅を縮小し、10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小の4.54%。一時は8bp上昇していた。ポンドはユーロに対し、一時は0.7%に上っていた下落率を0.3%に縮めた。
スターマー氏、あるいはリーブス氏が地位を追われれば、財政規律が緩む恐れがあるとの懸念から、投資家はこうした事態に否定的に反応する傾向がある。
原題:Starmer Faces Calls to Quit After Departure of Two Top Aides(抜粋)
--取材協力:Greg Ritchie、Joe Mayes、Alex Morales、Alice Gledhill.
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