米国とインドが貿易に関する暫定的な枠組みで合意したことを受け、インド国内では靴や衣料品の輸出企業が勝ち組候補として浮上しているほか、金融市場の不透明感緩和につながるとみられている。

発表によると、米国はインドからの輸入品にかかる関税率を50%から18%に引き下げることで合意した。一方、インドは見返りとして、5000億ドル(約78兆3000億円)相当の米国製品を購入し、農産物や製造品、化学品、医療機器を含む米国製品に対する貿易障壁を撤廃する。

 

コタック・マヒンドラ・アセット・マネジメント・シンガポールのニティン・ジェイン最高経営責任者(CEO)は、「待望の米印関税合意がインド経済・市場・通貨に対する主要な懸念材料を払拭した」と指摘。企業が中国以外で生産拠点を多様化する「チャイナ・プラスワン」戦略に言及し、グローバルサプライチェーンにおける同戦略の競争において、インドが最有力候補となったと指摘した。

貿易合意がインドの産業に与える影響は以下の通り:

労働集約型セクター 

インドは米国向け衣料品・シューズ・宝飾品の主要供給元だ。インドの衣料品輸出大手パール・グローバル・インダストリーズは今回の合意を受けて事業が大きく加速すると見込む。マネジングディレクターのパラブ・バネルジー氏は、「追加関税が撤廃されたことで値引き圧力が解消され、2月以降、直接的に収益性が向上する」と述べた。同社はGAPやラルフローレンを顧客に抱える。

家庭用繊維製品のウェルスパン・リビングや衣料品製造のキテックス・ガーメンツなどウォルマートのサプライヤーは受注増加が見込まれる。

航空・自動車

航空宇宙・航空セクターは、今回の枠組みで相対的に注目を集めた分野だ。米国はインドから輸出される一部の航空機および航空機部品に対する関税を撤廃することで合意した。

ソナBLW・プレシジョン・フォージングスやサンバルダナ・マザーソン・インターナショナルといった自動車部品メーカーも、米国が優遇関税枠を設けると表明したことで恩恵を受ける。

インドのゴヤル商工相は、インドメーカーが米国に輸出する自動車の基本部品に対する関税率はゼロとなる一方、一部の部品には依然として関税が課されると述べた。

一方、政府当局者によれば、トランプ政権の主要要求事項であるハーレーダビッドソン製二輪車(排気量800cc超1600cc未満)の輸入関税をインドは撤廃する。これによりインドの高級バイクメーカーのアイシャー・モーターズは、競争環境が激化する見込みだ。

精製業者

この枠組みでは、ロシア産原油の購入について言及されなかったが、トランプ氏が6日に署名した大統領令では、ロシアから購入すれば、25%の上乗せ関税を復活させることが明記された。インド石油、バーラト石油、リライアンス・インダストリーズなどは安価なロシア産原油の精製で利益を押し上げてきたため、主要な負け組となる可能性がある。

ワイン醸造業者と蒸留酒メーカー

インドがワインや蒸留酒にかかる障壁の撤廃に合意したことで、同国の酒類業界が抱える課題は一段と深刻化する。欧州のワイン生産者や酒類メーカーが恩恵を受ける一方、英アルコール飲料メーカーであるディアジオのインド子会社などにとっては、競争がさらに激しくなる。

インド最大のワインメーカーであるスラ・ヴィンヤーズも、欧米競合他社とのシェア争いが激化する見通しだ。

原題:Ralph Lauren, Walmart Suppliers Among Winners in India-US Deal(抜粋)

--取材協力:Mihir Mishra、Sanjai P R、Satviki Sanjay、Alisha Sachdev、Debjit Chakraborty.

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