トヨタ自動車は6日、近健太執行役員(57)が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格する人事を発表した。佐藤恒治社長は副会長になる。人事は4月1日付。

近氏は経理部門の役員などを経て、2022年4月に取締役兼副社長に就任した。その後、トヨタの子会社で実験都市や自動運転技術の開発などを手掛けるウーブン・バイ・トヨタの幹部となっていたが、25年1月にトヨタに復帰していた。

近氏はトヨタ不動産の取締役も務め、トヨタグループによる豊田自動織機への株式公開買い付け(TOB)計画にも携わってきた。豊田章男会長は留任する。

同日午後に会見した近氏は、事業をしっかり継続していくため、損益分岐台数を引き下げて悪いときに踏ん張れる構造をつくりたいなどと抱負を述べた。また、豊田織機のTOBについてはこれまでと同様、トヨタ不動産取締役としてトヨタの情報を遮断するなど利益相反の問題を管理しつつ、関与を続けていくと話した。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは近氏について、長く豊田章男会長の側近として仕えてきており、「意思疎通は非常にスムース」だと評価。トヨタには優秀な社長候補が大勢いる中でも、近氏は経験・能力に加えて、率直で分かりやすい物言いがトップとして大きな魅力であり武器になり得るとの見方を示した。

会見したトヨタの近氏(右)と佐藤氏(6日)

トヨタの発表資料によると、今回の人事の目的について社内外の環境変化を踏まえ、「経営のスピードを上げていく」ことがあるとし、トヨタの使命を果たせる体制を整える狙いがあるとした。

市場予想に届かず

23年4月にトヨタの社長に就任した佐藤氏はわずか3年での交代となる。今後は副会長と新設するチーフ・インダストリー・オフィサー(CIO)を兼任し、「産業全体に軸足」を置く。自動車産業が厳しい事業環境に直面し、業界連携などが重要になる中、日本自動車工業会の会長のほか経団連副会長も務めている佐藤氏には「果たすべき役割が大きい」とした。

一方、トヨタは同日に今期(26年3月期)営業利益見通しを前期比21%減の3兆8000億円に上方修正した。円安の影響で前回の見通しから3100億円の増益要因となるなど追い風になったが、ブルームバーグが事前に集計したアナリスト22人による予想平均値(3兆9420億円)には届かなかった。

通期の想定為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=174円と従来見通しからそれぞれ4円と5円、円安方向に修正。グループ世界販売台数は1130万台と従来の計画を据え置いた。

(更新前の記事でドルの表記を訂正済み)

(会見のコメントを追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.