暗号資産(仮想通貨)ビットコインが6万5000ドルを割り込み、デジタル資産市場を揺るがす危機が深刻化している。中でも影響を強く受けているのが、ビットコインに積極投資するマイケル・セイラー氏の米ストラテジーだ。

ストラテジーは5日に発表した決算で、昨年10-12月(第4四半期)に124億ドル(約2兆円)の純損失を計上したと明らかにした。大量に保有するビットコインの時価評価損が主因だ。痛手は今週さらに深まった。新たな市場混乱により、同社のビットコイン保有額は2023年以来初めて累計取得コストを下回った。ビットコインは米大統領選後の上昇分を帳消しにした。

Photographer:Ronda Churchill/ Bloomberg

要するに、セイラー氏の金融実験が崩れ始めているということだ。

かつて企業向けソフトウエア会社だったストラテジーは、自社株のプレミアムを利用しビットコイン取得の資金源に変えてきた。ピーク時には、株価が保有資産価値を大きく上回り、新株を発行してビットコインを買い増し、その循環を繰り返すことができた。しかし、そうしたプレミアムは消え、資本市場が引き締まる中で、このモデルは停滞している。

今回は、新たな株式発行や社債発行は発表されなかった。2020年以降の同社の特徴的動きとは異なり、追加購入を賄うための新たな手段や構想も示されなかった。セイラー氏が最近、守りの姿勢を見せていることもあり、過去の四半期とは明らかに異なる展開となっている。過去には、売り局面ごとに大胆な言動と資金調達策を示していた。

共同創業者で執行会長のセイラー氏は、同社がマージンコール(追加証拠金請求)に直面しておらず、利払いと分配金を2年以上賄える22億5000万ドルの現金を保有していると述べている。ただ、ビットコインが同社の取得コストである7万6052ドルを大きく下回って推移する中、風当たりは強まっている。

ストラテジーは5日、今年と予見可能な将来において、収益や利益を生み出す見通しはないと改めて表明した。こうした見通しに基づき、永久優先株の保有者への分配は、当面は非課税になると見込んでいる。

決算発表後の説明会で、ストラテジーのフォン・リー最高経営責任者(CEO)は「過去1年にビットコインやMSTRを購入した人の中には、今回が初めての下落局面という人もいるだろう。私の助言は、持ち続けることだ」と述べた。

ベンチマークでストラテジーの普通株の投資判断を「買い」としているアナリスト、マーク・パーマー氏は「厳しい市場環境の中で、ビットコイン購入資金の調達に関するストラテジーの意向に注目が集まっている」と指摘。「この環境では、同社はSTRC永久優先株がその取り組みの原動力になることを期待している」と分析した。

原題:Saylor’s Crypto Project Pounded After $12.4 Billion Loss (2)(抜粋)

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