(ブルームバーグ):三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、拡大する人工知能(AI)向けデータセンター需要を取り込むため、関連人員を増やす。融資獲得を担う人材だけでなく、証券化業務や機関投資家からの資金調達といった複数の分野で増強する。
MUFGでグローバルCIB事業本部長を務める中濱文貴専務がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。AIデータセンターなどのデジタルインフラについて「一部ではバブルといわれているが、ニーズは引き続き強い」と指摘。今後も北米を中心に世界中で高い需要が続くとみており、「現地採用を増やしていく」という。具体的な人数については触れなかったが、同本部は北米で約1300人を擁する。
生成AIの普及に伴い、計算需要を支えるデータセンターや電力網への投資は世界的に急拡大しており、特に北米では1件当たりの投資額が巨額化している。銀行には単なる融資提供にとどまらず、プロジェクトファイナンスの組成力や融資債権を証券化することによるリスク分散、証券化した商品の機関投資家への転売といった幅広い金融仲介機能が求められている。
中濱氏は米国のほか欧州や中東、日本などでも安全保障上の観点から機密性の高いデータセンターを新設するニーズは「それぞれ高まっていく」として、資金需要を積極的に取り込みたい考えを示した。今後は質の高い案件を選別する能力が必要とも強調した。
MUFGは昨年12月、データセンターを中心に投資を行うファンドと出資契約を結んだ。「AIインフラストラクチャー・パートナーシップ(AIP)」と呼ばれるこの枠組みには、米投資ファンドのブラックロックの他、マイクロソフトやエヌビディアなど世界の主要AIプレーヤーが参画している。規模も300億ドル(4兆6500億円)と巨大で、この分野を代表する存在の1つだ。
中濱氏は出資額について明言しなかったものの、同社のファンド向け出資の中では最大規模となる金額で参画したと説明。「インナーサークルに入り、いち早く情報を入手する。どのプレーヤーが生き残っていけるかを含め、優勝劣敗を見極めていく」と語った。
資産回転型
グローバルCIB事業本部は、収益性と資本効率性を同時に高めるため、「資産回転型」と呼ばれるビジネスモデルへの転換を図ってきた。
銀行が企業やプロジェクトに融資などで資金提供した際、銀行のバランスシート上では「資産」に計上される。資産回転型とは、この資産をMUFG自身で抱え続けるのではなく、証券化するなどしてほかの機関投資家に販売し、自らの保有資産を軽くすることを意味する。多様化する機関投資家の投資ニーズに応えると同時に、銀行にとっては自己資本利益率(ROE)の改善につなげる効果が期待できる。
中濱氏によると、こうした取り組みを「プロジェクト・エボリューション」と銘打ち、昨年から本格的に始めた。「1年ほどたち相応の効果があったが、まだ道半ばだ」として、引き続き強化する。
機関投資家の間では、リスク分散の観点から多様な運用商品への投資ニーズが高まっている。中濱氏はこれに対応するため、ローン担保証券(CLO)や資産担保証券(ABS)といった証券化を通じ、運用商品の組成力も高めるとした。
MUFGは昨年、英銀バークレイズからジョン・クレメンツ氏をCLO分野のリーダーとして採用した。中濱氏は「より広範でさまざまなリスクアペタイト(選好)を持つ投資家に運用商品として提供する。これがわれわれの伸びしろだ。証券化のチームを一層強化する」と話した。
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