中古腕時計の価格低迷は終わりを迎えたようだ。中古腕時計相場は5年にわたる乱高下を経て、着実な上昇局面に転じている。今後の焦点は、新品腕時計の価格上昇と株式相場の騰勢が持続するかにある。

中古腕時計相場の激動は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下に始まった。暗号資産(仮想通貨)の含み益や支援金で潤った消費者がオンラインで中古モデルに殺到した。だが2022年春、ビットコインの急落と金利上昇でバブルは崩壊。借り入れで腕時計を購入していた投機筋は投げ売りを強いられた。

米モルガン・スタンレーとウォッチチャーツの最新のリポートによると、主要10ブランド、300モデルの価格は25年10-12月(第4四半期)に1.9%上昇し、年初からの回復基調を裏付ける形となった。

 

取引額ベースで最も売買されている腕時計50本を基に算出されるブルームバーグ・サブダイヤル・ウオッチ指数は、約2年ぶりの高水準に達した。

 

相場の転換点は、新品の価格動向と連動している。米国の関税導入により腕時計メーカーは値上げを余儀なくされ、世界的な価格の調整も進んでいる。昨年秋に価格を据え置いたロレックスも今月、推定で約6%の値上げに踏み切った。価格上昇を受け、消費者の視線は中古市場へ向かっている。

 

ビットコインの反発や世界的な株高を背景に、25年の中古腕時計相場は前年比4.9%上昇し、21年以来の上昇を記録した。

今回の回復は、25年前半よりも裾野が広い。当時はパテック・フィリップやロレックス、カルティエ、オメガなど一部のブランドが主導したが、25年10-12月は調査対象35ブランドのうち21ブランドが上昇した。

パテック・フィリップ、ロレックス、オーデマ・ピゲ以外では、新品より3-4割安く、買い手の間では割安感に着目した動きが広がっている。

 

相場復活は新品市場の動きとも共鳴しており、リシュモン時計部門の10-12月の売上高は為替の影響を除き前年同期比7%増と市場予想を上回った。値上げに加え、販売数量の増加も寄与した。特に米国や中東で需要が拡大した。

 

腕時計メーカーにとって、中古腕時計相場の堅調さは「もろ刃の剣」だ。ブランド価値の証明となる一方、新品腕時計への需要を侵食しかねない。これに対しロレックスは認定中古プログラムを強化。同プログラムでは25年の売上高が前年の3億1900万ドルから5億ドル超に増加した。

もっとも、中古市場の先行きには脆(もろ)さも残る。最近の金融市場の動揺は、経済不安や政治的混乱が購買意欲を瞬時に冷え込ませるリスクを再認識させた。数年前のような転売目的の過熱感は影を潜め、暴落の経験から買い手は慎重な姿勢を崩していない。

投資価値のあるモデルには依然として好機があるが、時計の針は確実に進んでいる。

(アンドレア・フェルステッド氏は消費財と小売業界を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。以前は英紙フィナンシャル・タイムズの記者でした。このコラムの内容は、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Want That Bargain Rolex? Better Act Fast: Andrea Felsted(抜粋)

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