中間選挙に向けた今年の経済政策の見通し

今年11月には米国で中間選挙が予定されている。一般に中間選挙は現政権に対する「信任投票」と位置付けられるが、トランプ政権にとって今回の中間選挙は、2期目発足後の政権運営に対する有権者の評価が直接的に問われる重要な局面となる。

足元の支持率動向をみると、全体の支持率が就任当初を下回る水準で推移しているだけでなく、経済運営や生活費に対する支持率が低迷している点が特徴的である。

景気自体は底堅さを維持しているものの、物価高の長期化により、家計が実感する生活コストの負担感は強く、経済環境の改善が政権評価に十分結びついていない。このため、現状が続けば中間選挙において共和党は苦戦を強いられる可能性が高い。

こうした状況を受け、トランプ大統領は「手頃な価格(アフォーダビリティ)」をキーワードに、生活費負担の軽減や住宅取得環境の改善を掲げる姿勢を強めている。

具体的には、機関投資家による戸建て住宅購入の制限や、クレジットカード金利の上限設定といった案が取り沙汰されており、住宅価格や家計の金融負担に直接訴求する政策として、中間選挙を強く意識した対応と位置付けられる。

もっとも、これらの政策の実現可能性や経済への影響については不透明な点が多い。機関投資家による住宅購入制限は、供給制約が続く住宅市場において、必ずしも住宅価格の安定につながるとは限らないほか、賃貸市場や住宅金融への波及など副作用も懸念される。

クレジットカード金利の上限設定は、家計負担の軽減につながる一方、金融機関の貸出姿勢を慎重化させ、信用供給を抑制する可能性がある。

以上を踏まえると、中間選挙に向けた今年の米国経済政策は、これまでの成長重視・対外強硬姿勢を基調としつつも、家計の実感に即した「生活費対策」や「住宅取得支援」に政策の比重を一段と移す展開が予想される。

景気の底堅さが維持される中で、物価の沈静化とアフォーダビリティ改善をどこまで実現できるかが、トランプ政権の経済政策に対する評価、ひいては中間選挙の行方を左右する重要なポイントとなろう。

※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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